第13話 JCとひっそり
……館内ではお静かに。
どこの図書館にもそんな張り紙があるように、図書館は基本的に静謐だ。
咳払いすらためらわれるような、静の時間に包まれし空間。
ところが、その奥まった一角で――
「ちゅ♡ んちゅ……♡」
……里奈ちゃんの影響でホットな状態にあるのが僕の現状だ。
催眠アプリを使われた結果、隅っこに誘われてしこたまキスをされている。
「んっ……琉斗くんは誰にも渡さないから……♡」
悶々としたモノを解き放つかのように里奈ちゃんはもはや獣の如く。
ヤバい……こんなところでキスの嵐を見舞ってくるなんて、里奈ちゃんはひょっとして里帆以上に重い感情を持っているのでは……?
「ところで琉斗くんさぁ……ちゅ、むちゅ……昨日から図書館に寄り始めてるのはホントになんでなのかな……?」
うぐ……また聞いてくるのかよ。
「やっぱりまさかのまさか……催眠の記憶が残ってるからあたしを避けてる、とかじゃないよね?」
……っ。
マズい……やっぱり疑われているんだよな。
気取られるわけにはいかない。
演技バレは色々と致命的。
だから僕は必死に虚ろな演技を続けるしかない。
無反応、無反応……。
僕は人形、マネキン……。
「ちゅ♡ ほんとは自我、あるんじゃないの?w」
ないよ……(あるよ)。
「ねえねえ、必死に我慢しなくてもいいんだよ?w ここをこういう風にイジったら素直になってくれる?♡」
ぐぁっ……カッターシャツの内側に指を這わせられた……!
一体何を……!
「えいえいっ♡」
はぐ……っ、まさかの乳首責め……。
だが耐えろ……ここで負けるわけにはいかない……っ。
僕が始めた自縄自縛の物語……こんなところで終わってたまるかよ……!
「うーむ……琉斗くんしぶといなぁ。まぁでも、乳首をこんだけイジっても無反応ってことは、さすがに自我はないのかもね」
ふぅ、よっしゃ……耐えてやったぞ。
「じゃあちょっと意地悪しちゃったお詫びに、里奈の乳首もイジらせてあげちゃう♡」
え……里奈ちゃんの乳首?
「でも、ひとけのない廊下でね?♡」
そんなわけで僕は場所移動ののち、里奈ぱいを堪能することになった。
生で。
詳細は省くけど、発展途上の膨らみはぷにっと柔らか。
演技バレしないためとはいえ、結構ガチで触ってしまい、もう最高だった。
「あら……なんであなたたちが一緒の帰りなの?」
そしてそんな戯れからの帰り道、住宅街の入り口付近で練習帰りの里帆とバッタリ遭遇した。
運動着姿の里帆は、僕と里奈ちゃんをジッと一瞥して不満顔。
これは嫉妬していらっしゃるな……。
「なんでもいいじゃん。おねえには内緒っ。あたしだけの秘め事だもんねっ」
そう言って里奈ちゃんが先にトタタと駆けていった。
「琉斗……あの子に何かされた?」
里帆が怖い顔で尋ねてきたので、僕は首を横に振る。
「いや……それが覚えてないんだよ」
そう告げるしかない。
「覚えてない……まさかあの子も……?」
しかしそれはヒントとしては充分過ぎたようで、里帆は何かに勘付いたようだった。
「(そういうことなら……琉斗への洗脳を強めてあの子に取られないようにしなきゃね……)」
ひェっ……なんか不穏な言葉が……。
「ふふ、とりあえず帰りましょうか」
やたらとにこやかな表情で里帆が先んじて歩き出す。
こりゃあ……今夜はちょっとした覚悟が必要かもしれないな。
――――――
つづく
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