第11話 ムラムラとメラメラ
翌日。里奈ちゃんの催眠アプリの餌食にならないよう、この日の放課後は図書館に立ち寄り、遅めに帰ることにした。
里奈ちゃんにえっちなことをされるのはイヤじゃないが、放課後に直帰したら里奈ちゃんと2人きりの時間が2時間近くはある。そのあいだずっと催眠アプリを使われたら絶対に僕は演技どころじゃなくなり、お猿さんと化すと思う……。
昨日はなんとか里奈ぱいを無心で揉んで耐えたものの、今日もそう出来るとは限らない。だからこその、図書館への寄り道である。
今後はしばらくこの寄り道が続くかもしれない。
さておき、この図書館はラノベの品揃えがすごいから居心地は悪くない。
しかもクーラーのおかげで快適。
僕は未所持のラノベを3冊ほど読み耽って今日のところは帰路に就いた。
「――りゅー兄ぃ、今日は珍しく遅かったじゃん。どっか行ってたの?」
帰宅すると、水泳部の妹・萌果が僕よりも先に帰宅済みだった。夕飯の支度をしている。もう7時近いしな。
「図書館行ってた」
「自習のために?」
「ラノベ読んでた」
「乞食じゃん」
「市民の権利だよ」
失礼なヤツだな。
今夜の育乳作業のときに乳首を目一杯イジり倒して分からせてやろうと思う。
そんな考えと共にひとまず自室へ。
ベッドにリュックを投げるように降ろして夏服から部屋着へと着替える。
ふと里帆の部屋に目を向けてみると、明かりが点いていた。助っ人として運動部の練習に参加している里帆よりも、僕の方が遅かったわけだ。萌果も帰宅済みなんだしそりゃそうだ。
……ところで、風に揺れるカーテンの隙間から室内の様子を覗くことが出来る。
どうやら里帆も今しがた帰ってきたばかりのようで、着替え中だった。
高嶺の花の黒髪美少女は、部屋着のTシャツを着用し、続けてホットパンツを穿き始めている。
「――あら」
やべ……気付かれた。
「まったく……覗きだなんて悪趣味ね? さすがは童貞だわ」
素の僕に対しては相変わらずペルソナを被っている里帆である。
……まぁ、現状に関しては何も言い返す資格がないわな。
「それより、今日はあなたも遅かったみたいね? どこかに行っていたの?」
「あぁ、図書館だよ」
「……なんで図書館?」
「それはまぁ、ちょっとな」
里奈ちゃんが催眠アプリを使い始めたからそれを避けるため、と正直には言えない。……だって斜向かいの部屋の窓辺に里奈ちゃんがジッと立っていて、『何も覚えてないよね?』とカンペを出しているのだ。しかも『てかなんで図書館行ってたの? あたしのこと避けたん? ねえねえねえ?』とヤンデレチックでもある。怖い……。
「ねえ、ところで琉斗……」
「……なんだよ」
「一応、確認なのだけど……あなたってきちんと童貞なのよね?」
なんだその確認は……。
「さ、さっきの童貞煽りが意味を成したかどうかの確認というヤツよ」
ウソだな……僕のことが本当は大好きな里帆としては、僕には童貞であって欲しいってことでさぐりを入れてきたんだろう。やれやれ、一応正直に答えてやるか。
「まぁ、童貞だよ」
「ふぅん……この世で一番価値のない情報をありがとう」
建前で素っ気ない返事をしているのは分かるが、ちょっとムカつくな。
どれ、僕も軽くからかってやるか。
「童貞煽りするお前だって処女だろ?」
「そうだけど……処女で悪いとでも?」
「別に。せいぜいそのまま僕のために取っておけよな」
「――っ!? だ、誰が琉斗なんかのために……」
と言いつつ、里帆ははにかむように少しニヤけていた。大好きな僕に処女のキープを命じられて、本当はドキッと気分が高まっているんだろう。分かりやすいヤツだ。
「――りゅ、琉斗、ちょっとこっちに来なさい……」
そんな折、里帆がなぜか催眠アプリを起動させ始めたことに気付く。
急だな……なんでこのタイミングで……。
「あなたが変なことを言うからムラッと来たわ……♡」
……僕は余計なスイッチを入れてしまったのかもしれない。
「さあほら、早く来なさい……♡」
藪蛇の形になってしまったが……しょうがない。
演技バレを防ぐには大人しく従うのみだ。
……里奈ちゃんがジッと見続けているのが怖いけど、とにかく僕は虚ろな演技を開始。
窓を跨いで里帆の部屋に移動した。
「もぅ、琉斗ったらいきなり今みたいなことを言ってくるのは卑怯だわ……♡」
そして僕が部屋に移動するなり、里帆が僕をベッドに押し倒してキスをしてきた。
毎度の如く熱烈な、ついばむようなキスの嵐が開幕からフルバースト。
酸欠になりかける勢いだが、僕はこれが嫌いじゃない……。
「琉斗こそ……んっ♡ ずっと童貞で居てくれなきゃダメよ? いつかきちんと告白して両想いになれたら、思う存分えっちしてやるんだから♡」
そっか……意外にも、催眠状態の僕を襲って貞操を奪う気はないらしい。
暴走しているように見えて、そこはきっちり線を引いていたんだな。
……僕は里帆の好意といつ、どう、向き合えばいいんだろう。
催眠アプリを駆使して好意を示されてから、割と悩んでいる。
そこに来て里奈ちゃんの想いも知ってしまい、なんかもうこんがらがっている。
僕は里帆のことも、里奈ちゃんのことも嫌いじゃない。むしろ好きだ。
だからこそ、今はまだ選べないなって思う。
焦って答えを出す段階でもないと思うから、まずはゆっくり考えていきたい。
だから今はひとまず、催眠アプリの恩恵に甘んじておこう。
「んっ、むちゅ……好きよ琉斗♡」
そんな甘やかな言葉と共にキスの嵐が続く。
やがて里帆は白いブラに包まれたおっぱいをまろび出してきて、その谷間部分を僕の顔に押し当ててきた。むぐ……。
「はぁい琉斗~、今日もおっぱいの時間でちゅよ♡ たぁんと堪能なさいね~?」
赤ちゃん扱いしやがって……でも僕はこうされるのも嫌いじゃない。
普段のツンツン里帆と違って、慈愛に満ちた雰囲気がたまらないんだ。
「ふふ、よちよち♡」
谷間に顔をうずめたりし始めた僕の頭を、里帆がにこやかに撫でてくれる。
学校では男子の偶像にして女子の憧れ。
そんな里帆にこういう表情を向けられるのは、きっと僕だけだ。
無性に誇らしい気分で、僕は里帆の谷間を味わう。
そうしていると――
「――りゅー兄ぃ~! 夕飯出来たよ~!」
と、萌果の呼び声が木霊してきた。
となると、この戯れは恐らく……、
「あら……どうやらここまでのようね」
案の定、里帆が残念そうに僕の顔からおっぱいを離してしまった。
萌果に見られるわけにはいかないし、こればかりは仕方のないことだ……こうして名残惜しさを感じてしまうのは、僕もだいぶ毒されてきた証だろうか。
「……さて琉斗、あなたは今から自分の部屋に戻りなさい。それと同時に正気も取り戻すこと。いいわね?」
衣服の乱れを直した里帆がそんな命令を告げてきた。
だから僕は自室に戻ったのち、
「あれ……僕って今何を……?」
などと、正気に戻った演技を行った。
「ぼ、ぼーっとしていたのよ……あなた最近、急に意識を失うことがあるみたいだから気を付けた方がいいんじゃないかしら?」
取り繕った里帆が窓越しにそんな返事を寄越してくる。
やれやれ……全部分かってる僕に対して何言ってんだか。
でもまぁ、これはこれで優越感があるから嫌いじゃない。
それはそうと……里奈ちゃんが今もジッと自室から僕を眺めているのが怖い限り。
変なことを企んでいるように見えなくもないけど、多分気のせいだと思いたいもんだ……。
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