第7話-②
お腹が満たされた私たちは、行きよりもゆったり時間をかけて帰ることにした。
二人とも大好きなお笑い番組がマンネリになっていることとか。気になっている異性と仲良くなるためにはどうすれば良いかとか。お母さんの裁縫の腕がメキメキ上がっていることとか。マコトとのおしゃべりは止まらなかった。時間が止まればよいのに。そう思い歩調をわざと緩めると、マコトが急に笑い出した。
「お姉ちゃんさ、なんだかゴジラみたい」
「ゴジラ?」
「そう、ボク目線で見るとゴジラぐらいの大きさだし、歩き方もノシノシだし。ゴジラに乗れるなんて、きっとボクしかできない経験だよね」
なるほど。確かに縮んだことがない私には無理なことだ。楽しそうに笑うマコトを見ていると、初めて縮んでみたい気持ちが湧いた。それにしても、姉を恐竜呼ばわりするのはちょっと酷い。
「ゴジラは恐竜じゃなくて怪獣だよ」
「どっちでもいいじゃん。あんたは細かいね」
「どっちでもよくない」
「分かった分かった。じゃあ帰ったら一緒にゴジラの映画でも見ようか」
確か登録している動画配信サイトにあったかな? スマホで確認するためにマコトから目線を外した。
その瞬間、ぺちん、の音が胸ポケットで弾けた。
質量保存のおとうと 赤ぺこ @akapeco
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