第3話 訪れる不幸

三つ子達が5歳の時。

弥生やよい、もっと大人になりなさい。聖也しょうや飛鳥あすかに置いていかれるわよ」

「お母さん…分かった。弥生、負けないように頑張る…」

弥生が泣きながらそう言うと、美代みよは微笑んだ。

「聖也…もっと女の子達に優しくね。弥生と…飛鳥に…嫌われる…わよ」

「はい、分かりました…大丈夫ですか…?」

4年ぶりに聖也の目から大粒の涙が溢れるなか、美代は、「ううん」と、悲しそうに言った。

「飛鳥…お勉強も…いいけど…外で…遊んだり…しなさい…運動も…しないと…体が…動かなくなっちゃ…う…よ…」

「うん!それより、お母さん!死なないで!」

「任せ…ま…した…よ、颯…く…」


「ご臨終です…」

「美代っ…美代っ…」

颯太が泣き出した。その姿は、三つ子達が初めて見るものだった。

「お母…さん…お母…さ…ん…」

「お母さんっ…」

「お母さーん!何で…何で…」

三つ子達も泣き出した。

「美代ちゃーん!美代ちゃん!」

どうやら医師も熱狂的なファンだったらしい。

「…」


そのニュースは、2週間程、テレビで放送され続けた。

『人気アイドルグループ・サンライズの三星美代さんが、亡くなられた事が分かりました。29歳でした』


『速報です。サンライズの三星美代さんが、亡くなられたとのことです』



その一ヶ月後。颯太のマネージャーが、走って三星家にやって来た。

「颯太さんが…現場で…ライバル・本多裕翔さんに…刺されて…」

「「「えっ…???」」」

全員、涙が溢れ、発狂した。

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三つ子クリスタル 額田兼続 @Nekofuwa-jarashi

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