二題め 作品紹介レビュー

 全界隈の作者様方が全身うち震わせて歓喜の涙を滂沱するアレである。

 当地(カクヨム)で言えば「おすすめレビュー」、小説家になろうでは単に「レビュー」と称される、著者以外の他人様による作品推薦文のことだ。


 web小説界においては、一部の自主的運用(noteとか個人サイトとか)を除き、一般に読者による加点方式が採られている。カクヨムで言えば、以下の項目がそれにあたる。


・PV

・♥(ハート)

・★(星、レビュー)


 この辺りについて、そもそも本稿に辿り着いている段階で「巣くっている」と形容しても過言では無い読者諸氏に対しては説明不要と思われるが、要は当該作品に触れてくれた有難い読者様の総量、読後ページに送られる彼らからの認知、および作品それ自体に対する承認もしくは賞賛を可視化し数量化した指標のことだ。

 これらについては既に数多の評論や言説が流布しており、いまさら筆者ごときが語ることではない。なので本稿ではそれら定量指標ではなく、定性指標である「応援コメント」と「おすすめレビュー」、とくに後者について語っていこうと思う。


 ボタンをポチっとするだけでは収まらないコストを読者様に強いる、エクストラな承認行為。それが「応援コメント」と「おすすめレビュー」である。

 カクヨム(および小説家になろうグループ等)においては、それらはテキストで表現される。平たく言えば、感想文だ。読者様に強いるコストとは、つまりこの作文部分である。有難や。


 これらエクストラ行為に対しての作者陣における悦びの鮮烈さは置いておくとして、今回は書き手である読者の心得について話すことにする。といっても一般論に落とし込むつもりは無い。あくまでも筆者・深海くじらにおける心得、である。そこんとこ重要。試験に出るので。


「応援コメント」を記述する上での基準はかなり流動的かつ緩い部分も多々あるので、本稿では割愛する。おつきあい的なものも否めない、みたいなことも無いわけではないし。


 で、本題だ。


 筆者が「おすすめレビュー」でイメージするのは常に以下の二場面しかあり得ない。


・新刊本や文庫本に巻かれている帯

・気の利いた書店の平積み棚に散見される作品紹介POP


 であるからには、自分がレビューする場合もそれらのイメージに嵌め込んで違和感の無いものを提示しなければいけない。これはもう、必須である。素人とは言え物書きを標榜している身としては、他人様の作品に付加価値を与えんとするプラスアルファの作品であるべきと考える。ある種の矜持と言えよう。百万が一、己が書籍作家になった際に過去の所業を紐解かれ嗤われたりしないように、というところまで思いを忍ばせて。


「ひとこと紹介」では、可能な限りキャッチーな煽りコピーをひねりだす。

「レビュー本文」では、作品の魅力を提示しつつ書き過ぎないように気をつけ、場合によっては(単純な)ミスリードも辞さない。


 ちなみにとある映画のワンシーンで、主人公が映画の十五秒トレーラーをつくる際にプロデューサーが授けた以下のアドバイスは、紹介レビューを書くときの心構えとして参考になる。

 少なくとも筆者には響いた。


――――――

 掴みがあって

 意外な展開があって

 見所を紹介しつつ

 ミスリードさせながら興味を引っ張って

 最後にドーン!

――――――

(引用:『映画大好きポンポさん』)



 あらすじをまとめ、自分の推しの部分を紹介し、一般論に落とし込んで語りかける。という日刊新聞日曜版の書評欄がごとき書き方を示唆される方もいて、それはそれでたいへんよろしいと思う(実際その方法をやってみたこともある)。思うのだが、やはりそれを筆者自身(つまり僕)が行うのは少々自己主張が強過ぎると感じている。要は、気後れしてしまうのだ。

 それよりも、書店POP並の手軽で無記名な分量の方が、筆者のイメージする「おすすめレビュー」に合致する。在り方としても、自分の力量を鑑みても。


「応援コメント」の中にはおつきあい的なものの存在も否めないというようなことを先述したが、こと「おすすめレビュー」に限っては、そのような忖度は無い。もちろんだが、筆者が発信するものの中では、という前提付きで。

 だから筆者からの「おすすめレビュー」を押しつけられた作品の作者諸兄はご安心めされたい。深海くじらの「おすすめレビュー」は、作品全文、もしくは評するに十分と感じた分量まで読み進め、琴線に触れた上での行為であるとお約束する。



 みたいなことを書くと、

「そんな気構えを求められてんじゃ、とてもじゃないけど『おすすめレビュー』なんて書けないよな」

なんて思われて「おすすめレビュー」の総量が、もしくはピンポイントで筆者・深海くじらの作品に対するそれが激減してしまうかもしれない。

 と、気づいた。ここまで書き終えて言うのもなんだが、完全に自縄自縛である。


 でも皆さん、そんなご懸念は必要ありません!(営業口調)


 なぜならプロアマ問わず、筆者を含む全ての作家が、自作を奨めてくれた言葉には絶大なる悦びと心からの感謝を感じているのだから。

 たしかに長文や気の利いた紹介を貰えれば、その分上乗せの歓びがあることは正直否めない。だがそんな上乗せがなくても、感想や紹介の言葉は十二分に嬉しいものなのだ(本心)。

 だから少しでも気に入った作品があれば、臆すること無くご自身の言葉で「おすすめレビュー」や「応援コメント」を書いてやって欲しい。貴方に見えないところで、作者達は尻尾を振って跳ね回ることを請け負うから。



 ちなみにカクヨムでは、二月八日の正午前まで「カクヨムコン9読書まつり」を実施している。

 期間中にカクヨムコン参加作品への「おすすめレビュー」を投稿すると、審美眼という名の運と作品に対する熱量に応じて「スコッパー賞」「最熱狂レビュー賞」なる副賞ありの新設賞が用意されているらしい。

 また当然のことながら、作品の読者選考の合否に「おすすめレビュー」「応援コメント」の量が左右する可能性は大いに高い(というか、ほぼ確実)。

 後押しする最後のチャンスと思って、♥や★だけでなく感想文という形で気に入った作品を支援して、祭りに参加するのも大いによろしいのではないかと。


 ここで筆者の参加作品名を列挙したいのは山々なのだが、やり過ぎてまた資格停止とされるのもつらいので、やめておく。その上で、しょうがない応援でもしてやるかと思われる優しくも奇特な御仁は、本稿表紙ページの筆者名「深海くじら」でもクリックして表示される作品群を、つらつらと眺めていただきたい。




――― 参考 ―――

『カクヨムコン9読書まつり』

 カクヨムコン9公式のイベント詳細ページ内

 https://kakuyomu.jp/special/entry/kakuyomu_web_novel_009#feature-a


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