三題め SNSとのつきあい方
スペースをしながら別のSNSをザッピングしていたら痛ましいニュースが目に飛び込んできた。つい昨日SNSで知った原作改変の話題で、その渦中にいた原作マンガの作家さんの訃報。
事の経緯をこの場で事細かに書き立てるつもりはないが、本筋である改変問題の推移より、自身の手のSNSでの告発をきっかけに炎上化した番組スタッフへのバッシングに対する恐怖と後悔が主因なのではないか、と勝手に想像する。
亡くなった方の言葉はもう聞けないし、何か残されていたかどうかの続報も現時点では無い。だからその想像は、筆者の脳内で作られた手前勝手な物語だと思う。大きな決断を下すときに、ひとはもっと多岐にわたる細かい演算を重ねるものだ、と信じている部分も筆者の中には依然として在るから。
が、いずれにしろ大きいなり小さいなり、SNSでの拡散と特定個人に向けた怨嗟にも似た大合唱がまったく無関係だったことは、タイミングから考えてあり得ない。
この、場合によってひとを死に至らしめることさえあるSNSという情報社会とは、いったいなんなのだろうか。
SNSとはその黎明期からつきあっている筆者(つまり相当の歳)は、その比較的初期からこう考えていた節がある。すなわち、
「SNSにおけるヴァーチャルな社会はリアルな社会となんら変わらない常識世界で、ただその空間がリアルとは別のレイヤーに存在するだけ」
という主張だ。当時のSNS人口は今とは比べものにならないくらい少なく、国内最大のサービスでも百万人を超えたばかりだったと記憶している。言うて人口の1%。
ネットリテラシーなる言葉が、多くのメディア系セミナーで
現在の日本におけるSNS人口は以下の数字となっているらしい。
主要SNS人口の月間アクティブユーザー数(MAU)
・LINE 九千五百万
・YOUTUBE 七千万
・X(旧ツイッター) 四千五百万
・インスタグラム 三千三百万
・フェイスブック 二千六百万
・TikTok 一千七百万
以下略
(Gaiax 令和5年12月調べ)
今回の炎上の火種となったインスタグラムとXもそれぞれ、十五歳以上全人口(約一億一千万人・総務省発表の五歳階級別人口令和5年12月予測値より)の30%と41%。その規模は、もはやリアル社会と同格に近いと言っても言い過ぎでは無い。そしてその伝播力、拡散力、スピード感はリアルの比では無い。
筆者を含む多くの文筆創作者およびその読者が集うカクヨムや他のweb小説サイトの住人も、おそらくそのほとんどがなんらかのSNSを利用していることだろう。そして毎日のようにそこここで人々の集合離反が繰り返されている。
今回のような不幸な事件は今までにもあっただろうし、これからも発生し続けるだろう。なぜならそこで行われていることの内容と基準は基本的にリアル社会と同じであり、そのようなことはリアルでも散見されるのだから。
ただ先述したように、SNSでは情報の伝播拡散の規模とスピードが桁値違いに速い。リアルだけであればさほど大きな騒ぎにならないものであっても、ひとたびSNSの波に乗ってしまったら、たった一日で全国規模の騒ぎになったりもする。そしてそこで繰り返し語られる無責任かつ無見識で明確な悪意の無い中傷や誹謗を含む意見を、当事者が直接目の当たりにしてしまうことになる。
どうすれば、かかる自体に対処できるのか。
青臭い筆者はこう思う。
ひとたび起ってしまえば、この波を完全に避けきることはできない。なぜなら、SNSを完全シャットアウトすることは日々の活動の規模縮小を意味することだから。そして、自分に襲ってくるかもしれない波の発生を完全にコントロールすることも、おそらく不可能だろう。
であるならば、それに弾き飛ばされない耐性を自分で育てるしか無い。そういった危機を想像し、逃げ込めるシェルターを準備し、なによりも揺るがない自己世界を構築しておくしか対処の術は無い、と。
ちなみに甘ちゃんな筆者はこうも思っている。
世界のすべてが敵になったとしても、自分が生き残る路を探して足掻く人でありたい。そしてもしもそんな事態になったら、突貫でもいいから創作をするのだ。
「世界のすべてが敵になっても、ボクは君のことを信じるよ」
と言い続けてくれるヒロインの物語を。
――― 参考 ―――
Gaiax Co.Ltd
『2024年1月更新!性別・年齢別 SNSユーザー数(X(Twitter)、Instagram、TikTokなど13媒体)』
https://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/435
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