最終話
事件が落ち着き、みんなが普段通りの暮らしを始めた頃にそれは起きました。
ホワイトハウス。その大統領執務室の壁一面に黒いシールが貼られたのです。大変な騒ぎになりました。アメリカで最も厳重な警備がくぐり抜けられてしまったのです。国防に関わる大問題です。なんとしても犯人を突き止めなければなりません。その容疑はまっさきに日本へと向けられました。なぜなら、そのシールには白い大きな文字でこう書かれてたからです。
"佐藤"
ホワイトハウスだけではありません。中国、ロシア、インド、イギリス、オーストラリア……あらゆる国の最重要機関に同時多発的にシールは貼られていました。
"田中"
"鈴木"
"山田"
シールにはそれぞれ違う名前が書かれていましたが、いずれも日本の人名でしたから、世界の疑いの目は一斉に日本へと向けられました。
みんなは言いました。自分たちはやっていない。誰かが我々を陥れようとしている。動機だってない。証拠もないのに責めるなんてどうかしていると。そう言いながら、みんな頭のどこかに大平和 幸福之助のことを思い浮かべていました。思えば、これが人々が自らの行いを省みる最後のチャンスでした。けれど結局、誰一人として幸福之助の元へ謝りには行きませんでした。それどころか、幸福之助がみんなに罪を着せようとしていると言い出す人間まで現れ始めました。
幸福之助は
ボタンを
押しました。
そして
世界は
-おわり-
大平和 幸福之助 権俵権助(ごんだわら ごんすけ) @GONDAWARA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます