幼馴染

 俺が人間の赤ん坊…親である鈴宮孝治と鈴宮峰子の子供に転生してから15年が経った。

 この15年間で分かったことがある。


 それは、俺には幼馴染というものがいるということだ。


 白色の綺麗な長い髪、キリッとした表情にスラリとした長身、そして引き締まっている身体。

 彼女は小学校では学級委員長をやり、中学校では生徒会長を務めるような優等生だ。

 そんな幼馴染の名前は桃源 薫という。


 …ところで皆様、彼女の姓にお気付きだろうか?そう…桃源なのだ。俺が前世で桃太郎殿に与えた姓と同じだ 。

 だが、桃太郎殿の子孫であればとんでもない名家のはずなのだが…彼女の家は至って一般的な家庭だった。

 おそらく、数百年の間に桃源などという姓が増えていったのだろう。


 まぁ、そんなこんなで…親同士は俺達が産まれる以前から仲が良かったようで、偶にどちらかの家でBBQをしたりする。


 今まさにそのBBQ中だ。

 BBQの時は美味い肉が食えるから結構好きだ。


 隣に座って肉を食べている薫に目を向ける。

 こういう時だけ、彼女の表情は蕩けた表情になる。普段の彼女からは考えられない表情だ。

 …そんな彼女をよく見ている俺から見ても流石に少し気色悪く見えてきたので注意する。


「薫…表情、蕩けすぎて気色悪くなってる…」

「ッ!ほ、本当か?!すまない…見苦しいものを見せた…」


 注意するとシュンとしてしまった薫をフォローする。


「お前は綺麗な顔してるんだから…」

「へあっ?!そ、そうか…ありがとう。これから気をつける…」

「おう、そうしろ。」


 顔を真っ赤にさせ俯く薫。

 何が原因かは分かってるけど。


 ふと視線を感じそちらを向くと…親達がこちらを見ながらニヤニヤしていた。


「いや〜流石詩紀君だ…口説くのが上手ですね〜」

「将来どんな大人になるか楽しみですよ。」

「イケメンさんだから余計女誑しになっちゃいそうね!」

「流石私と孝治の子供ね!」


 笑い声を上げながらこちらを見ていた親たちにうんざりしながら、薫と喋る。


「あはは…すまないね、私の親が…」

「なに、俺の両親も一緒に言ってるからな、お互い様だ。」

「ふふふ、それもそうだな。」


 そこから薫と喋り続けた。

 喋り疲れ、時計を見ると8時に指しかろうとしていた。


「そろそろ8時か…明日も早いしもうお開きにしようか。」

「それもそうね。それじゃ片付け始めましょうか。あ、あなたたちは先に家に戻ってていわよ。」


 母がそう言ったので俺たちは先に家に戻った。

 BBQ会場は俺の家だったので、薫は帰る準備をしていた。


「送っていくよ。」

「いや、すぐ隣だし大丈夫だよ。」

「すぐ隣だがと言って女を1人で帰らせる訳にはいかねーよ。」

「ふふふ…私を女扱いしてくれるのは両親と孝治さん達と君だけだよ。」


 …可哀想な奴め。


「ま、取り敢えず送ってくよ。」

「あぁ、よろしく頼むよ。」

「安心しろ。俺はこう見えて強いからな。」

「…初めて知ったよ。」


 *****


「たったの数十秒かよ。」

「ふふふ、それだけでも安心するよ。」

「そりゃよかったよ。」

「それじゃ、また明日ね。」

「おう。またな。」


 そうやり取りをして俺たちは別れた。



 この時俺は思いもしなかった。自分に戦える力がまだあること…そして、薫が早く帰る理由を知ることになるなんて。



 -----------------

 えちょまです。

 こっち更新します。

 1週間ぐらいはこっちで闇隠は休み!

 それじゃ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天才子鬼、憧れだった人間に転生する えちょま @mepuru127

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ