にわとり
小学生の時に、校庭の隅で飼われていた鶏のお世話係になったことがある。そこの鶏は大きくて羽が真っ黒で視力がないのか、瞳が黄色がかった白い目玉をぎょろぎょろさせていてとても怖かった記憶がある。ある日、小屋の掃除をする僕にそいつは話しかけてきた。
「気に入らないやつ、いる?」
僕は、鶏が話しかけてきたことにはさして疑問を覚えず、なんとなく昨日僕の筆箱でキャッチボールをしていた3人のクラスメイトの名前をあげた。
「わかった」
鶏は目を細め、にっこりと笑った。嘴を横に引き伸ばして、人間のように生えそろった歯が見えた。
次の日、3人のクラスメイトは校舎裏のゴミ捨て場で見つかった。服はきてなくて、身体中傷だらけで、まるで大量の鳥に啄まれたようだったという。
その日の夕方、小屋の掃除に行くとまた鶏が話しかけてきた。
「次に気に入らないやついる?」
僕は首を横に振ると鶏はまたにっこりと笑った。
僕はどうしてこんなことをしたのか気になって聞いてみた。
鶏は答えた。
「小屋、綺麗にしてくれたお礼だよ」
僕は、箒を思いっきり鶏の頭に叩きつけた、何度も何度も。
鶏は抵抗せず、ついには動かなくなることを確認して、僕は家に帰った。
あれから10数年、久しぶりに実家に帰って母親にそういえばうちの小学校には鶏小屋があったけどまだあるのかなと聞いてみた。
母は、
「そんなのなかったわよ」
とだけ答えた。
ひとくちホラー:幽霊は脳で産まれる @origutinanonine01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ひとくちホラー:幽霊は脳で産まれるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます