身バレしない究極の方法

今は、体育の、授業の途中の水分補給の時間である。


「小山さん?」


「何ですか?」


「体育の授業中ぐらいマスクを外さない?」


まただ。

私、ゼラニウムは今、大きな問題を抱えている。それは、身バレ対策だ。


中学までは、まさかかいじめている人が=ゼラニウムという思想にならないと思いと、顔出しをしていないという状況により、身バレ対策を怠っていた。


しかし、今はライブで顔出しするようになっていくことも増える。そして、高校生。

この世代が、歌い手のファンの層になっていく。がっつり、身バレ対策をしないといけない。


その結果、マスクと伊達メガネのダブル装備、話しかけるなオーラーを出すということになった。身バレの対策の究極の方法は、ボッチになること。


そりゃあ、関わりがなければそう簡単にバレないはずだ。

そのはず。


そうやって、春を過ごしたのはよかった。

そして、今は夏。対策的にはマスクをつけときたい。

だけど、先生的には熱中症対策として外してほしい。

もちろん、外せるなら外したい。熱中症になりたいMじゃないんだから。


「すみません」


「・・・。水分補給をしっかりするように」


「はい」


「凛花ちゃん、やっぱ外したほうがいいよ。多少、外した所だよ」


「こういうことは、油断したら足元を掬われるの」


「だとしても、体調に悪いよ」


「それは分かっているよ」


「水分補給の時間は終わりです。戻ってください」


「行くよ」


「うー。もう、走りたくないよー」


「しょうがないでしょ。授業なんだから」

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