バースデイ・アローン
ナナシリア
バースデイ・アローン
誕生日は、たいていの場合は祝われるものである。
しかし、俺はその「たいてい」から外れているのではないかと、そう思う。なぜなら、俺はクラスで目立つような人間ではないからだ。
だからといって、誰とも話さないというわけでもない。決まった友達はいないが、話しかけられたら誰とでも話すし、遊びに誘われたら遊びに行く。そんなポジションを確立していた。
話は戻り、そんな存在をわざわざ祝おうと、そう思う人は少ないはずだ。
わかっていても、祝われたいと思ってしまうものだ。
俺は少し期待して、片っ端からSNSを開く。
三つ確認した。そのどれにも、俺を祝うメッセージは無い。
落胆して息を吐く。
孤独からは逃れられない。
ゲームでもしようとスマホの画面を見て、ふと通知欄を見ると、LINEの通知が一件だけあった。
『誕生日おめでとう』
素朴なメッセージ。だからこその嬉しさがある。
そのメッセージに釣られて、今日になってから未だ開いていないLINEを開く。
確認してみると、LINEには誕生日を祝う機能があった。
メッセージカードがいくつも送られている。
確かこの人は、勉強を教えてと言われて教えた人。同じ塾の人に、最近は会っていない部活の先輩。たまに話す人、昔からずっとクラスが同じ人。
少し、心が温まる。
こんな俺でも祝ってくれる人がいるんだ、と。
バースデイ・アローン ナナシリア @nanasi20090127
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