第37話 ハードボイルド火星人
オレの名前は早乙女……
ハードボイルド探偵! 早乙女瞳! ……なんだけど……
え? 別行動?
「な、なにぃ!? お前どういうつもりだ!? ちょ……おい!」
い、行ってしまった。 便所連れてってどうするんだ? カツアゲか? カツアゲだな……
なんで急に……?
金に……困ってんのか……。
オレが金返さないからか? それで代わりにカツアゲを?
ふむ…… 鈴木……だったか? 悪いことしたな……。一つ貸しにしとくぜ。返す事もないと思うがな。
まあ、マスターもすぐ来るだろう。拓が必要な状況など、そうそうないか……
「それでは早乙女様」
取り巻きズのひとり、若い男が声をかけてくる。
「早乙女様は幹部対応にてお迎えするように。と言付かっております。服を脱いでお待ち下さい」
幹部対応!? オレを?
ふふ……マスターめ。そこまで気を遣わなくてもいいのに……。中に潜り込めさえすれば勝手に……ん?
「服を……脱ぐのか?」
「ええ、服を脱いでお待ち下さい」
「む……そうか。そういうルールならしょうがないな」
ふ……別に構わんさ。この早乙女瞳、いつ何時でも人に裸体を晒しても恥ずかしくないように鍛えてあるからな。
さあ! 見るがいいこのハードボイルドな肉体を!
シャツを脱ぎ捨て、腹筋に力を込める。
ふ、ふふ……ふっ! どう……だ? 取り巻きズ。はぁっ! ……オレのハードボイルドな……ふっ! ……肉体に女はメロメロ、男は……んっ! ……自信喪失だろう? ふんっ!
ふふふっ! み、見てる、見てる。ふん……はっ!
しかし……くっ……腹筋を割り続けるのは……ふっ! ……結構キツイな。いつまで脱いでれば……
「早乙女様」
「ぐっ……ふっ! な、なんだ?」
「下も脱いで下さい」
「? ……し、下? 靴下か?」
「ズボンと……パンツもです」
「パ、パンツも!? 全裸ってことか!?」
「全身からの宇宙愛注入を行うには全裸が好ましい為です。普通であれば、服を着たまま行いますが……早乙女様は幹部候補生。よりスムーズな宇宙愛注入を行う為、全裸待機でご協力願います」
「ぜ、全裸待機だと!?」
若い女もいるというのに、ここで全てを脱げと?
ぐ……む……し、仕方あるまい。
この早乙女瞳……努力出来る箇所は全てにおいてハードボイルドだが……
アソコは少しハードボイルドとは言い難し……
だが、ここでモジモジしていてもハードボイルドとは言い難し!
いいだろう! 躊躇なく豪快に脱ぎ捨ててやる。
ズボンとパンツを一気に引き下げ、取り巻きズの方に投げる。
「どうだ!? これでいいか?」
「はい、結構です」オレの下着を受け取った男は、そう言って笑った。
なに笑ってやがる……どこ見て笑ったんだ今……
く、くそ! まさか……
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