第33話 ジェイソンよりは……
オレの名は早乙女……
ハードボイルド探偵、早乙女 瞳!
ふむ……しかしアレだ。
ボディガードとして拓を連れて行くのはいいが……
コイツ顔が怖いんだった。
怖いくらいならいいが……怖すぎるんだった。
仮にも名称に愛と平和を掲げている団体に、このまま潜入するのは無理があるか……。
怖いから頼んだ役割なのに怖すぎて無理とは……いやはやまったく……ままならないな。
「ふむ……少しマイルドにするか」
たしか、パチンコの景品で取って、引き出しに入れたままに……
お、あった。
「よし。コレを被れ」
「え? ウサギのマスク? 可愛いですね。どうしたんです、これ?」
「去年のハロウィンの時にノリでな。いいから被れ」
「ああ……はい」
とりあえず顔を隠しときゃ、なんとかなるだろ。
「ど、どうですか?」
……。
な、なんでだ?
なぜコイツが被ると怖いんだ……。うさちゃんマスクだぞ?
逆にコイツの顔に慣れて来てるからか……?
初めてJアラートを聞いた時の得体の知れん……言い知れぬ不安に駆られる……。
いや……ここは初対面であった場合どっちが怖いかで考えてみよう。
『うさちゃんマスク装着の拓』VS『素の拓』。
さあ! どちらが怖い!?
「んー……」
「ど、どうです?」
「怖さで言うと…ジェイソン以上……お前以下……だな」
「なんで!?」
「まあいい。
「行くって……どこへです?」
「全宇宙平和 愛融合教団へ、だ」
「え? ボク、行くの決定なんですか!?」
「当たり前だろう。ノリノリでマスク被っといて今さらなにを言ってるんだ。借金返さなくていいのか?」
「いや……まあ……それは困りますけど……っていうか、いきなり行って、すんなり入信させてもらえるものなんですか?」
「ふ……オレがなんの準備もせずに敵の牙城に斬り込んで行くとでも? 心配するな、準備は万端だ。ぬかりはない」
そう。すでに2週間も前に先遣隊を送っている。
コストがかからず。仕事以上に熱心に仕事する逸材をな……。
「拓。覚えておけ。恋心ってヤツはいかなる状況下でも利用出来るんだぜ?」
「なんですか? それ……」
特にモテないオッサンはなぁ……へへへ
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