第2話 俺の推しピンチになり過ぎだろ

俺の名前は織田管良(おたくだよ)。


この名前のせいで「オタクだよwww?」と中学で3年間ずっとバカにされて、高校に入ってからもバカにされた、先生は勿論助けてくれなかったし、両親になんか言える訳がなかった。


俺はオタクなんかじゃなかったし、趣味と言えばテレビを見たり早朝のランニングをしたりで、俗に言うドルオタやアニオタじゃなかった。


俺は引きこもった、当たり前だ、弁当はトイレに流されたし、教科書は燃やされて、暴力も振るわれた。


だけど、引きこもってからの方が辛かったのだ、だって、親に迷惑かけるし、ドアの前ですすり泣いている親の声が聞こえるのだ。


怖かったし、申し訳無かったし、色々な感情が混ざりあって、辛かった……こういう風にしか表現出来ないぐちゃぐちゃな感情がずっと胸の中にあった。


俺は逃げるようにダンジョン配信を見た、俺はダンジョンになんか興味が無かったけど、流行ってたから取り敢えず心を落ち着かせようと見ていた。


そんな俺に、救世主…メシアと呼ぶべき存在が舞い降りた、レンちゃんである。


レンちゃんは、いつも優しくて、可愛くて、強くて、諦めなかった。


彼女の初配信を見てから、俺の人生は変わった。


まず彼女を見習ってダンジョンに潜ることにしたのだ。


ダンジョンに入ると、自分の潜在能力が引き出されるそうだ。


とある説では、人生観などが反映されるそうだ、俺は早朝にランニングしたり、元々足が早かったので、足が早くなったのだ、因みにレンちゃんは攻撃力が高い。


ダンジョンの魔物を倒すと、所謂経験値が溜まり、潜在能力が更に引き出されて強くなるそうだ、ダンジョン内ではめっちゃ足が早くなったし、攻撃の威力も高くなった。


残念な事に、これはダンジョン内の事で、ダンジョンから外に出ると一般人と程度の力に戻る。


だからこの潜在能力をどれ程引き出せるかと言うのが強さの基準で、魔物を倒すのが手っ取り早い強化方法だ。


他にもダンジョン限定の力があって、それがスキルである。


自分の潜在能力と、自分のダンジョン内での努力とか、経験とかで発現する謎能力である、足が早くなったり、攻撃力が上がったりする身体強化系、剣を装備すると攻撃が上がったり、槍を持つと防御が上がる条件強化系、武器に炎を纏わせたり、魔法を放ったりする必殺系だったりのスキルがある。


スキルは使用すればする程熟練度が溜まってスキルのレベルが上がる、今見つかってるスキルの最大レベルはⅦレベルだ。


俺が持ってるのは【瞬発Ⅲ】【長距離速度強化Ⅰ】【速度強化Ⅲ】【加速Ⅱ】【打撃武器装備時速度強化Ⅲ】【全力疾走Ⅳ】【出会い頭Ⅳ】


瞬発が咄嗟に走る時の初速が早くなる、長距離速度強化は長距離でもあまり速度が変わらず走れる、簡単に言うと疲れても足が遅くなりにくい、速度強化は普通に足が早くなる、加速は走れば走るほど早くなる、打撃武器装備時速度強化はまんま、打撃武器装備してたらなんでも足が早くなる、俺のメインウェポンは三節棍だから調度良い、全力疾走はめっちゃ疲れる代わりにめっちゃ足が早くなる、出会い頭は24時間以内に会っていない相手と初めて会った時に5秒間攻撃力と速度が上がる。


簡単に言うとめっちゃ早い、足が早くてクソワロタって感じだ、出会って5秒くらいで魔物を倒せる、ってか出会い頭で強化されてるから面白いくらい簡単に倒せる。


他にダンジョン内で強くなるものは、魔物がドロップする素材で作られたり宝箱から出てきた武器だ、大剣だったり刀だったり槍だったり弓だったり色々、ダンジョンの外では唯の玩具と化すのだ。


俺が使ってるのは、偶々宝箱から出てきたペンライトと三節棍が一体化したみたいな攻撃時、戦闘時に光る三節棍だ。


で、なんでダンジョンに入るのかと言うと、端的に言うと金稼ぎである、魔物を倒すとドロップするアイテムはいい値段で売れる、最近探索者が増えて供給が激増したからか、弱い魔物を倒しても昔のようにいい値段で売れなくなったそう。


だから、自分を強くして強い魔物を倒し、強い魔物のドロップを売って大金をゲットする……その過程で死ぬ人も少なくないけど。


というか散々話した魔物についてだが……マジでなーんも分かんない、ダンジョンから出たら消えるし倒したら消えるし、麻酔打って解剖したら中は光る謎のエフェクトみたいなものだったらしい、なのにドロップは肉とかを普通に落とす。


謎だ、謎だ、本当に謎だ、なーんも分かってないし、そもそも20年前突如として現れたダンジョンもなーんも分かってない、分かってないから喋る専用の探索者とかが頑張って解明しようとしてる。


さっき言った宝箱もなーんも分かんない、誰かが置いたのか、それとも自然発生したのか……なーんも分かんない、でも分かんないことが分かるってのが大きいらしい、現代でも未知の技術とか、だからそれを解明しようとする探索者の需要は高まっている、人間の知識欲ってのは凄まじいものだからね。


兎も角、俺はレンちゃんに救われてダンジョンに入った、最初は初心者向けダンジョンだった。


初心者向けだからか、そんなに苦労することなく三ヶ月くらいでダンジョンを完全制覇した。


初心者向けダンジョンでは小遣い稼ぎくらいしか出来なかったが、全て親に渡したりレンちゃんにスパチャしたりしていた、3ヶ月間で大体900万くらいつぎ込んだかな、でも喜んでくれるのは嬉しかったから、全然苦にはならなかったけど。


逆にダンジョンに潜る意味が、自分を変える~なんて曖昧な理由じゃあ、途中でやめたかもしれないから、明確なスパチャするという理由をくれたからレンちゃんには感謝している。


そんなこんなで順調にダンジョンを攻略していたんだが、1つ事件が起こる。


俺がレアボスに当たったレンちゃんを助けた事だ。


この事については誇らしいしマジで嬉しい……なんならもう人生の誉と言っても過言では無い。


でも問題が2つだけある、1つは俺があの場から焦って逃げてしまった事。


お礼は動画越しで教えて貰ったけど、実際に言いたかったなーとレンちゃんも言っていたから、ちょっと勿体ないというかなんというか、言語化し難い思いがあるのだ。


2つ目は、俺が何故かネット上でオタ活アサシンなぞとよく分からんあだ名で呼ばれている事だ、実際あんな派手にやったら何らかのメンドクサイ事があるかなーと思ってたんだけど、案の定というかなんというか……オタ活アサシンとかなんやねん、アサシンどこから来た!?早いから!?みたいな。


いいよ?いいんだけどさ、もうちょいカッコイイやつであってくれよ、神速のアサシンとかさ、まぁペンライト振り回して美少女ダンジョン配信者助けてる奴が神速のアサシンとか笑えてくるから無いとは思ってるけどさ……オタ活アサシンって、オタ活してるアサシンってなんだよ……。


1つ目はまぁコメント欄で謝ればいい話だからいいけどさ、ってかもう既に謝ったし、問題は2つ目の方なんだよ、もし俺の顔がバレたりしたら、少し外を歩くだけで「あれ?あれってオタ活アサシンじゃね?www」とか思われる可能性がある……流石に自信過剰だと思ってるけど、可能性があるだけで視線が痛い……深々と突き刺さって来るんよ。


そんなこんな考えながら取り敢えずダンジョンを探索しております。


何も考えずに、敵だけを倒して更にお金が貰えるという最高の場所、それがダンジョン、これこそがダンジョンの魅力なのだ、こういう時はレンちゃんの動画を作業用BGMに進むのが1番リラックス出来る。


「昨日は改めてクレイジーウルフを討伐しましたので、今日は上級ダンジョンに来ました、まぁ言うても上層を少し探索したら帰るんで今日は心配なしですね」


昨日の配信で、レンちゃんは改めてクレイジーウルフを倒し、ようやく上級ダンジョンへの探索を始めた、実際はちょくちょく通ってはいたのだが、本格的に探索するのは初めてのことである。


上級ダンジョンは、未だかつて誰も踏破していない高難易度ダンジョンだ。


日本国外ですら誰も踏破した事がないので、日夜上級ダンジョンを踏破しようと上級探索者達が探索を進めているのだ。


初めての上級ダンジョンのボスドロップ、何千億の金が手に入るだろう。


【心配だわー、今までも何回か潜ってたけどこんなに進むのは初めてだろ?】

【いざとなったらオタ活アサシンがいるので安心】

【そうか】

【そうだな】

【織田:50000¥おい、勝手に言うな】

【そうだな……でたわね!?】

【毎度の如くお布施してんなー】

【オタ活アサシンちっす】


「あ!!織田さん!!ありがとうございまーす!!……あれは!!」


画面に映るのは、レッサードラゴンだ、劣化ドラゴン、されどドラゴンである。


上層の中でもレアで、数十回潜って一体出るかどうか、まぁレンちゃんは運がいいな。


……一体だったら


「1、2、3、4、5、6……なんですかこの数!?!?」


10数体の場合は運が悪すぎるだろ……!?


【ぎゃあー!?囲まれてるよレンちゃん!?】

【一体ならワンパン出来るだろ、一体なら】

【おい!早く来いよオタ活アサシン!】

【織田:50000¥もうすぐつく!!!!】

【はやいわストーカー!】

【これはストーカーですね】

【ストーカーだったのか……】

【ストーカーならしょうがない】


「うわー!ヤバイヤバイヤバイ!語彙が!私の語彙が消滅していく!」


ついたぞレンちゃん。


【あ、なんか魔物気絶してる】

【もう一瞬やん】

【説明しよう!よく見えなかった人達よ!あれはペンライトが見えたので多分オタ活アサシンですね】

【うーん、この前はよく見えなかったけどオタ活アサシンの武器は三節棍っぽいね、ペンライトの動き的に】

【なんで気絶?ゴーレムは壊せたのに】

【因みにゴーレムは打撃武器に弱いです】


「じゃあねレンちゃん!!」

「あ!!」


レッサードラゴンは気絶か……まぁ頭の急所狙ったしね、後はレンちゃんが処理してくれるでしょ。


にしても前回といい……

…俺の推しピンチになり過ぎだろ。


□◇□


オタクな俺だけど、ダンジョン配信者を推してもいいですか?~何故か推しを助けてオタ活アサシンと呼ばれてました~ 2話をお読み頂きありがとうございました!


作品を公開するのは初めてで、不定期投稿になりますが、週4~5話投稿を目指して頑張って執筆しています!


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オタクな俺だけど、ダンジョン配信者を推してもいいですか?~何故か推しを助けてオタ活アサシンと呼ばれてました~ 桜咲 ナイ @ikuranooya

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