自力本願は医者に嫌われる?
30代の頃アメリカで、熱を出した幼い娘を医者に連れて行ったら、ドクターは、これしきのことで来るなと言わんばかりに、「私が処方箋を書くと高いから、お母さんが見ていて必要と判断したらこの薬を飲ませるように」と市販薬の名前を書いて渡してくれた。
日本の場合は、薬ひとつ断るのも、すったもんだの大騒動。20年ほど前、認知症の義母が「風邪を引いた」「夜眠れない」と訴えると、医者は風邪薬と睡眠薬を処方しようとする。傍らで私が「風邪も引いていないし、夜もぐっすり眠っています」と訴えても、「ご本人がそうおっしゃるから・・」と言って引かない。認知症の認定をしてくれた医者が、だ。なおも私が食い下がると、「あなたがそうまで言うのなら!」とむっとした声で処方箋を書く手を止めた。家に薬をいっぱいため込みながら、医者の前ではダンマリを決め、再び大きな薬袋をもらって帰る年寄りの多い所以がここにある。
日本の医者はなかなか患者を手放してくれない。整形では、患者からキリをつけない限り、年寄りのリハビリは延々と続いてしまう。リハビリとは、運動の仕方を教わり、自宅でそれを続けてゆくものとする自力本願の私は、医者からは鬱陶しがられる。只管“お医者さま”と崇め盲信して逆らわない、他力本願の患者を、経営者の医者は好むらしい。
次の更新予定
2025年12月31日 22:00
老邪鬼(おいのじゃく) @oinojaku70
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