エピローグ
初めて入る聴罪室は少しひんやりしていた。僕は彼と顔を合わせる。
「ではあなたは異星人なんですね?母星の外交交渉は期待できませんか?助けてもらうことができるんじゃないですか」
彼は達観したように言った。
「駄目なんです。ここと星交がないために僕は偽造書類を使って来ているもので正規のルートで助けることはできないと突き放されています。彼らの風習は厄介で、とにかく今月中には処刑が執行されると聞いています。ただでも遅れているらしく。これではもういろんなことが間に合わない」
彼は数日ここに留め置かれていると聞いた。隅の寝茣蓙の周りには習作のようなスケッチが数枚散乱している。黒く光るドラゴンの群れ、睨むドラゴン、羽ばたくドラゴンの絵。
「異星人のあなたがどうしてこんなことに?何故、罪人を処刑から逃すような危険な行為をあえて他人のためにしたんですか」
僕は最初からの疑問をぶつける。
彼は静かに答えた。
「きっとそれは、当事者にならなければわからないことなのです」
ピンクデューン 立夏よう @rikkayou
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