『真夜中という青春の時間』
今回のテーマは「真夜中」です。真夜中と言う時間が持つ意味。現代の若者にとって時間帯の持つ意味合いが変わっているのではないか、と言う考察です。難しいことは書かないのでぜひ気軽に読んでみてください
最近タイトルに「真夜中」とつく作品をよく見かけるようになりました。大好きな「声」の持ち主を探すミステリラブコメ「真夜中ハートチューン」や、7月にPAのオリジナルアニメとして放送される「真夜中ぱんチ」などがそうですね。どちらもVTuberやネット配信が作品テーマに組み込まれているのも共通ですね。
そこで思ったのです。もしかして平成以前とZ世代以降で「真夜中」と言う時間の持つ意味が変わっているのではないかと。
もしかしたらこれから書くことは若い方にとっては当たり前の話かもしれません。あるいは全然間違っているかもしれません。ただアラフォーオタクの私としては驚きだったので考察として残しておきます
私のようなにとって若いときに経験した真夜中というのは、どこか後ろめたく刺激的で淫猥な、大雑把に言えばCreepy Nutsのよふかしのうたの歌詞で歌われているような世界観でした。
しかし現代の若者は、真夜中という時間に、尊さ、エモさ、清潔でキラキラな宝物のような時間を感じているのではないか。
はっきり言えば真夜中が青春の時間になっているのではないか……と言う考察です。
これは衝撃的なことです。なぜなら私の想像する青春の時間とは、陽の光を浴びる、キラキラした、爽やかな、昼間に行われるものだったからです。
私はご多分に漏れず学生時代はど陰キャの根暗オタクでしたが、だからこそこうした「太陽の下の青春」には憧れと嫉妬がありました。みんなが体育祭や部活やスポーツでキラキラした汗を流しているなか、ひとり暗ーく図書室で本読んだり漫画を家で読んでた身としては太陽の下というのは憧れなのです。あるいは「真似できない」と諦める場所でした。
そして真夜中ネット徘徊をしているときも、後ろめたさと自虐的な気持ちがつきまとっていました。
ですが、ですが現代では、夜に布団の中で推しの配信や声を聞くことはとても尊い時間になっているのではないかと思います。学校や社会で居場所がなくて、あるいは馴染めてはいるけどどこか違和感のある人にとって、深夜スマホを持って飛び込める世界こそ本当に自分のいたい場所、楽に呼吸ができる場所、尊い場所になっているではないかと。
ゲーム実況を聞くでも歌配信を聞くでも、ASMRでもなんでもいいのですが、そういったシチュに尊さ、かけがえのない青春を感じている人もいるのではないかと。
昼間の、爽やかな、太陽の下の「青春」の時間では得られない、寂しい自分に寄り添ってくれる大切でやさしい「青春」の時間が真夜中にあるのではないかと思うのです。
そう考えると、時間とは別に「季節」の持つ意味も変わっている気がします。
「青春」「アオハル」というように、春は私の若い頃明確に明るい季節でした。キラキラして、新しい希望に満ちていて、未来に胸をときめかせて、とにかくワクワクがいっぱいな季節。すくなくともメジャーで売れている楽曲はそういった気持を歌うものが多かったように思います。
でも最近の楽曲、春を呪う歌詞が多くないですか? これは完全に自分の感覚になってしまうのですが、春が怖い、新しい出会いが怖い、馴染めるか怖い。こんな世界に飛び出るくらいなら今のままがいい。でもそれでは生きていけない……そんな気持ちを歌っている物が増えたように感じます。
昼間も、春も、もはやキラキラしただけの爽やかな存在ではなく、そこにはいくつもの苦しみ、恐怖、明るさへの違和感がまとわりついていて、むしろ真夜中のほうが落ち着ける……そんな人が増えているのではないかなと。
で、ここからが一番言いたいことなのですが……、これらはあくまで私の考察、想像であって、これが仮に本当だったとしても、こういう真夜中の尊さみたいなものは私には永遠にわからないわけです。想像はできるけどしっくりと納得はできない。
本当に残念です。もし若返れたら、私もその気持が実感として理解できるかもしれないのですが……。真夜中の尊さに思いを馳せる、そんな考察でした。
マンガ、アニメについてのぼんやりした考察 氷染 火花 @koorizome
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