第19話 難読漢字
生徒会室に向かう途中、
「
「大抵はね」そんなことより、「よく読めたね。結構……難読漢字だと思うけど」
ポスターに名前は書いてあった。だが……木五倍子なんて書かれていても、多くの場合は意味不明だろう。キブシ、なんて初見ではわからない。
「植物に
「なるほどね……」僕も同じように推測した。「博識だね」
「いえ……それほどでも……」
照れた顔がかわいい。今度からもっと褒めよう。
さて生徒会室の前に行き着くと……
「……先客がいるみたいだね……」
生徒会室の扉の付近で、
どうやら他の生徒と会話をしているようである。
「あ、あの……会長……」顔を赤くしているところを見ると、会長に話しかけることが目的らしい。「すいません……何度もレポートについてアドバイスを貰ってしまって……」
「大丈夫だよ」会長は爽やかな笑顔で、「生徒会長って言っても、そこまで忙しいわけじゃないからね。俺で良ければ、いつでも相談に乗るよ」
「ありがとうございます……!」
ふむ……どうやら後輩たちの課題を手伝ってあげていたらしい。
しかし……後輩たちの目的は明らかにレポートじゃない。恋する乙女の目だった。要するに……会長と会話することが目当てなのだろう。
「モテるんですね」
僕みたいにな。僕も
そしてそれは
まったく……恋は盲目とはよく言ったものだ。自分が恋をしてみればよくわかる。
ともあれ、女子生徒たちは去っていった。
「さて……」会長は僕たちのほうを見て、「次はキミたちかな」
どうやら僕たちが話しかけようとしていたのがバレていたらしい。
「会長さん」こういうときに物怖じしないのが
「もちろん」暇……というわけじゃないんだろうな。時間を作っているだけ。「もう学校には慣れたかい? わからないことがあれば、説明するよ」
「私のこと、ご存知なんですか?」
「学校で噂の転校生だよ。なかなかど派手なあいさつをしたみたいじゃないか」
……まぁ転校生のことは生徒会長なら把握しているか。それに
しかし……こうして
……
僕がとんでもなく場違いだな……なんか悲しくなってきた。
「そのあいさつのことで、少しご相談があります」
「ふむ……なるほど。じゃあ、とりあえず生徒会室に入ってくれ。立ち話もなんだからね」
というわけで……
……
僕も入っていいのかなぁ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。