ワッフルワッフル
市川凪視点
私の名前は市川凪である。小中高と無難な人生を歩んでいてそこそこ楽しかったが、大学卒業後に雰囲気が良さげな会社に入社した結果まさか入った会社がブラック企業だったとは、入るまでの案内は良かったものの、入った後にはセクハラ・パワハラのオンパレードであり、同期は辞めるか洗脳されている。私も最近ただでさえ短い睡眠時間+ストレスによる浅い眠りで限界がきそうになっていた。少しでも改善しようとホームセンターに枕を買いに行ったら山ちゃんがいた。
山ちゃんは中学の時に一緒の委員会になったのがきっかけで仲良くなって一緒に遊んだらするうちにいつのまにか好きになっていた人である。好きと自覚したきっかけは確か、たまたま2人で修学旅行の時に行動した時にめちゃくちゃ楽しかったというしょうもない理由だったか・・・。今まで何回か男の人に誘われたりして遊びに行ったことがあるが、その日を超えるほど楽しいことはおそらく後にも先にもないと思う。
高校で別々になってからは会うことがなくなってしまったが、今ここで会えたのはラッキーである。
久しぶりに会った山ちゃんはなんだかくたびれていたが、優しそうかつ責任感のありそうな顔は変わっていなかった。というか私も2徹してるからやばい顔してるし、メイクもボロボロだし普通にやばかったので、もっと話したかったがささっと退散した。
後日山ちゃんにちゃんとした格好で会いに行った。山ちゃんには結構好感触だったと思う。大学の時にはまあまあモテたしこれが私の本気なのだよ。寄ってくるのは山ちゃん以下のやつしかいなかったが・・・。
しかも今度の土曜日に山ちゃんとご飯を食べに行くことになった。本当に楽しみだ。仕事のやる気が久しぶりに湧いてきた。後3日だし頑張ろう。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
山田亮介視点
約束の日がやってきた。俺は待ち合わせをしている場所に行くついでに近くのビデオショップで借りていたDVDを返しに行こうと思い約束の時間の1時間前に場所に着いたのだが、凪はもう待ち合わせ場所に到着していた。凪は俺をロックオンした後にこっちに走ってきて俺の肩をバシバシと叩いてニヤニヤと笑った。
「早くない?そんなに楽しみだったの??私と会うのが。」
なんか腹が立つので言い返してやる。
「そうだよお前に一刻でも会いたかったからできるだけ早く来ようと思ってきたんだ。」
「っな!!」
凪は顔を赤くしてぶつぶつなにかを呟いていた。
「じゃあ集合場所に早く着いたことに特にというか全く関係はないけどちょっとDVD返してくるから待ってて。」
「なるほど。それが理由だったの。できるだけ早くきてねー。」
凪は一気に冷めた目線を俺に向けた。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
その後俺と凪は個室の居酒屋とような店に入り、あの時はどうだったとか、あいつはいま何してんだとか昔話に華を咲かせた。久しぶりに旧友の会うのは楽しいものである。するとふと凪は酒を一杯煽った後に顔を赤くしながら
「わっ私がちゅっちゅっ中学の同級生で一番会いたかったのは山ちゃんだったよ。」
と言った。というか改めて真っ直ぐ見るとやはり市川凪は可愛い。中学の時から金髪のロングヘアーと地味だが綺麗な顔で男子の人気ベスト4には入っていたが大人になって謎の色気が出ている。まずい。普通に可愛い。しかも俺のことを悪くは思っていないみたいだ、だがここで手を出せばろくなことにならない気がする。
「そうなのか俺はケンちゃんかなーー。」
「えー、寂しいこと言わないでよー。」
凪は俺の手をツンツンしながら俺を潤んだ目で見つめている。
「ま、一旦水飲め。すみませーん!!水をお願いしまーす!」
「はーい分かりましたー!!」
俺は店員を呼ぶことでまずい流れを断ち切ろうとしたが、気がつけば向かいでは隣に凪が移動していて俺の肩に寄りかかっていた。
「やっぱり山ちゃんの横って安心するねー。図書委員の時も隣に座っててとっても楽しかったもん。」
「あ、ああ、そうだな。おれは誰でもよかったけどなー。」
俺が顔を隣に向けると凪の淡白だが整った顔が目の前にあった。まつ毛なっが。美人だし。久しぶりに会って2回目だけどもうちょっと好き。
「お水お待たせいたしました!!!」
不意に店員が襖を開けて、水を持ってきた。
「ありがとうございます。」
水を受け取ると、隣の個室もちょうど開いた所であり、中が見えた。中には焼き鳥を頬張る暦がいた。すると暦はポカンとした顔をした後にちょっと涙目になって店を出ていった。なんなんだよ。
その後俺は凪に無理やり水を飲ませてタクシーで帰らせた。凪は俺の家に行きたい行きたいと言っていたが、これ以上凪と一緒にいると色々な意味でまずそうなため、無理やり帰らせた。また今度暦に会ってどうしたのか話を聞かないとな。拗ねるとめんどくさいし。
コンプリートガール @ttma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。コンプリートガールの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます