久しぶり
俺は今日も今日とて仕事をしていた。あれから暦と顔を合わせると飲みに行こう飲みに行こうとかなりの頻度で誘われるようになったが、暦が酔っ払うとだるいので、すかしている。なんやかんや顔がいいため、俺にとっては役得だが、それよりめんどくささがかつ。
早く仕事が終わらないかと考えていたところ、肩をトントンと叩かれた。
「あのー、この、安眠枕ってどの辺に置いてありますか?って山ちゃん?」
「え、お前凪かっ!?久しぶりだな、ってなんか雰囲気変わった?」
後ろを振り向くと小中と同級生だった市川凪がいた。彼女とは別のクラスだったが、委員会で一緒になった事がきっかけでちょくちょく話すようになった仲である。2年前に同窓会で会って以来久しぶりに顔合わせとなる。
「え、山ちゃんここで働いてたんだ、嬉しいけど、あんまりみられたくない時にあっちゃったね。えへへ・・・。」
凪の姿を見てみると長い髪は髪は洗濯バサミのようなもので雑に止められており、目の下には濃い隈がくっきりと残っており、くたびれている印象を受けた。
「まあ別に俺に見られたところで特に問題はないだろ?まあ枕のところに案内をするよ。あとしっかりと休んだ方がいいぞ。」
「私が嫌なんだよ・・・。まあ、枕のところに案内してよ。」
その後俺は安眠枕のところに案内して彼女はそれを買いまた来ると言って帰って行った。
久しぶりに同級生に会えたのは嬉しいな。ずいぶんくたびれていたようだけど心配だ。
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次の日またもや凪が俺のホームセンターに来た。この日は昨日と違い、やけに服装や化粧に気合いが入っていていい匂いもした。
「またきたよ。あの安眠まくら効果がすごいね。さすが山ちゃんの紹介だね。」
凪は嬉しそうな顔で俺の方に近寄り、パシパシと肩を叩いた。
「まあな、ってか。昔と雰囲気変わったな。」
雰囲気が変わったっていうか、だいぶ綺麗になった、顔だけでいったら暦よりもだいぶ好みである。昔は山猿のようなイメージだったが、品ある。
「えー?どう?昔とどっちがいい?」
「今の方がいいっていったら今後も一杯うちで買い物してくれるのか?」
「誤魔化さないでよ、ケチ。」
凪はニヤニヤと笑いながら。再び俺の肩をパシパシ叩いた。
「ていうか山ちゃん今度の土曜日の夜って空いてる?ご飯でも食べに行かない??」
「お前の奢りならいい「よし。じゃあ決定。また連絡するからまっててね。これ私の連絡。またね。」
凪はメモにボールペンで文字を綴ると俺の手にメモをバシーンと叩きつけて帰って行った。
来週の土曜日の9時からかぁ。ま、奢りだしいいか。その後俺は仕事をささっと片付けてからダシマッセ倶楽部へと向かった。
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いつもの如くスロットコーナーへ向かうと暦が俺の姿をロックオンした後に嬉しそうな顔をしながら自身の隣の台を指さした。
「おい!それくそ台じゃねーか!」
暦が指を刺した台はリブイン奈落だった。俺の反応をみて暦はケラケラと笑った。
俺は暦が指を刺した逆の隣の可愛らしい女の子達が一杯書かれている台に座った。俺が今回座ったこの台はいわゆる萌え台である。幕末恋姫という成人向けゲームが題材の台で、導入台数自体は少ないが、その安定したゲーム性からコアなファンは一定数いる台である。
俺はその台のサンドに札をいれ、実機のカスタムで先レバーモードを選択し、メインメニューに戻ろうとした。すると隣から凪が俺の袖をくいくいと引っ張り、ニヤニヤしながらキャラクター選択の欄を指差した。
「いや、なんか萌え台ガチ勢みたいで恥ずかしいから嫌だわ。」
「・・・。」
暦はこいつおもんなー。といった顔で俺の顔を見つめていた。
「わかったから、やるよやるよ。」
俺はキャラクター選択欄を開き、一番可愛いと思った金髪の少女のキャラクターを選んだ。というか、このキャラクター昼間にあった凪と似てるな。いや、俺きもいな。
暦の方に目線をやると暦はふーんといった感じで俺を一瞥した後自分の台に戻った。
その後暦が千枚プラス俺が二百枚マイナスといった結果で今日の稼働は終了した。
「はぁー。また負けかよ。」
暦は俺に景品のあまりの菓子を投げつけた後にドヤ顔をした。
「腹立つ顔をすんな、そういや今日の昼間に中学の同級生と会ったんだよ。今度そいつと飯を食いに行くんだー。」
暦は特に興味がないといった感じでコクコク相槌を打っていた。
「そいつ結構可愛くなってたからワンチャンあるかもしれんな。」
すると暦は急にムスッとした表情をして俺の胸に拳をぶつけて帰っていった。なんなんだよ。
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