第12話

 やはり、その日もフランスはゴハンを食べず、起き上がることは出来ませんでした。

 けれど、目でしっかりと私たちの動きを追いかけて、うとうととしていたものの、意識ははっきりとしていました。


「ずっと同じ姿勢はよくないしね」


 そう言って、母はフランスの身体の向きを変えるために、フランスを抱っこしました。

 その後、私は朝ごはんに、白米を電子レンジであたためました。

 そのとたん、フランスは目を輝かせて、身体を起こしました。


「え!? 食べるの!?」


 私たちは驚いて、慌てて白米を運びましたが、フランスはやっぱり食べませんでした。

 そうして私が白米を食べ始めた時、突然、フランスが再び起き上がろうとしました。


「え、今度は何!? 水!?」


 そう言って口元まで持っていきましたが、違うと顔を背けられました。


「あ、もしかして抱っこ?」


 母がそう言って、腕を伸ばします。

 そうすると、フランスはとても嬉しそうな顔をしました。

 あ、これが正解だったのか。

 そう思った時でした。


「……ねえ、フランスの心臓、止まってない?」


 グッタリと、フランスは母の腕の中で力を失っていました。

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