第9話
二〇二三年十一月。
叔母が、精神病院に入院することが決まりました。
叔母はチワワを飼っていました。そのチワワを、うちで預かることにしたのです。
しかし、そろそろ冬になる上、その頃フランスは心臓と肝臓が悪いことが判明していました。
チワワに構ってしまって、フランスの体調の変化に気付けなかったらどうしよう?
あるいは、チワワに嫉妬して、フランスがハンガーストライキしたらどうしよう?
初めての多頭飼いで不安を抱いていたのですが、意外なことに、フランスはチワワに寛容でした。
フランスのゴハンをこっそりチワワが食べたって、ちっとも怒りません。自分が寝ている場所にチワワが割り込んでも、怒るどころかちょっと場所を譲っています。
しかも、チワワが来たことで、フランスの落ちていた食欲が、パワーアップしました。
元々『食欲魔人』と呼ばれていたフランスでしたが、ちゅーるやらジャッキーなどのジャンクフードは、母の意向で滅多に食べさせていませんでした。
しかしチワワは、うちでは滅多に食べないようなジャンクなドックフードを主食としていました。フランスはそれに興味を持ち、喜んで食べたのです。
健康食品にこだわりのある母は難色を示しましたが、多分チワワが来たことで喜んだのはフランスだと思います。
このまま、チワワが飼い主のもとに帰るまで、日々が続くのだろう。
そんなことを、二ヶ月前は考えていました。
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