4周目、ラスト

「紹介するよ。彼がトーレ、その隣の子がトピー。そしてこの子がヒヤだ」

先生は私に優しく3人の友人を紹介する。 紹介された彼らは三者三様の表情を見せた。一番幼いヒヤは私のスカートの裾を握って笑 って見せ、

トーレは私の顔を見て、照れ臭そうに笑った。

「よろしく。私エワっていうの」

「ここでみんなで暮らすんだ。困ったことがあったら言ってくれ。僕が持ってこよう」

「夢、か」

目を覚まし、覚ました途端に現れる彼の表情がないことに変な安心感を抱きつつ、 辺りを見回すと白い壁に白い天井。パイプヘッドに机と椅子。ところどころぬいぐるみが置 いてあり、特に変わらない部屋の様子だ。

トピー「部屋入るよ」

「うん」

トピー「エワはどこまで知ってるの?」

「私たちがロボットだってこと、光原司って人が私たちを作ったってこと。暴走すると目が 赤くなるってこと」

トピー「そっか。俺はね、あまり首を突っ込まないことにしていたんだ。あの時、俺らが逃 げようとして、逃げられなかった時から」

「逃げようと......?」

トピーは笑って肩をすくめた。

トピー「そうさ、俺らは一人ずつ壊れていった。最初はヒヤだった。 ヒヤは先生が裏切ったんじゃないか、って恐怖で暴れ出した。今もその名残で自分を傷つけ てしまう」

「記憶はなくなるのに?」

トピー「そうだね。なんでか俺らはわからないけど、体の記憶は消せないんだ。 そしてその次は俺だった。先生が自分から牢屋に入った時に、逆に危ないことをする理由が わからなくて許せなくて暴れた。

これは全部トーレから聞いた。

その次はトーレあいつだった」

「トーレはどうしたの?」

トピー「トーレと俺ら3人はみんなで脱出しようとしたんだ。そこでエワ、お前が先生のところに行った。

お前は先生を信じることをやめることなんてできなかったんだ」

「今でもそういうところある気がする」

トピー「そうだろう。そうだと思う。記憶が消えても俺らは俺らから逃げることなんてでき ないんだ。その信じている先生を裏切れなかったエワに想いを寄せていたトーレはエワに手をかけようとして暴走した」

トピーは天井を仰いで、仕方なかったと言った。

トピー「エワと付き合っているって、トーレ言っていたと思うが、そんなことは一つもなか ったんだ。」

「一つも?」

トピー「君はより先生に呑まれていって、先生のところから出てこなくなったんだ。そうし た君を心配した俺らが先生のところから離そうとしたら君は暴走した。そしてことは君が目を覚ますところに戻る。

俺は見ないことにしていたんだ」

「それは、懺悔?」

トピー「そう懺悔だ。何もしなかった自分への」

「自分の目が少し赤いのは気づいてる?」

トピー「ハハッやっぱり?」

トピーは泣きそうに笑った。

トピー「俺は部屋に戻って本を読むからもう戻さないでくれよ。 きっと君にも手を出したくないんだ」

トピーは部屋を出て、私はトピーを見送っていると、部屋に戻ることなく先生の部屋に入っ た。


→追いかけない

「先生に用事でもあるのかな」

電気がいきなり落ち、音が聞こえなくなった。

BADEND 急な転落



→追いかける

「先生!?」

先生「やあ、来たんだね」

部屋に入ると、牢獄は開いていて、先生はトピーを抱きかかえて笑っていた。

先生「僕の作った人形だってわかっているのに殺しに来るなんてトピーは相変わらず浅は かで可愛いよね」

「先生は私たちでどうしたかったんですか?」

先生「君は夢を見たか?」

「夢?」

先生「僕は君の夢に希望をかけたんだよ。たくさん何パターンも情報を収集するために、何 度も君たちをリセットした」

「リセット……まるでおもちゃみたいに」

先生「人間とロボットの違いはなんだろうね。僕は気になったんだ。ありがとう。 君のおかげで助かったよ」

先生は手元のスイッチを押すと私は体が止まるのを感じた。

言いたいことはたくさんあったのに、何か言えないのはわかった。

先生「役に立ったよ。神に作られた模造品、人間に作られたロボットってね」

光原司は笑って扉から出て行った。学会への報告は来月にはできるだろう。 彼は四年の歳月をこの研究施設に費やしていた。

END 真相

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FILE6(ゲーム布教) 梅里遊櫃 @minlinkanli

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