音のおすそわけ

@iinosan_k

音のおすそわけ

ひとりじめしたいのは、


今に始まったことではないのだけど、


最近は音ですらひとりじめにしたいらしい。


念仏を耳元で唱えるように、


もれないようにフタをして。




おや、割れてるフタもあるようで、


せっかくのシナモノもれている。


それは雪降る仄白い朝を、


ザクザク行く轍より響いた、


静寂さんへの音のおすそわけ。


滑るタイヤの、氷よりうすっぺらい、


けれでも厚顔なおすそわけ。




ひとりじめしたいのは、


今に始まったことではないのだけれども、


静寂さんはいつでも音のおすそわけ。


あふれんばかりの、白い音。





此処まで読んで頂き、有難う御座います。

雪中行軍中の車内にて

2024.01.24 22:48

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

音のおすそわけ @iinosan_k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ