じつは偽妹でした。

第1話

　弟が欲しいと、ずっと思っていた。一緒にキャッチボールしたり、サッカーしたり、バトミントンをしたり、バスケをしたり、温泉卓球したり、海へ泳ぎに行ったり、山登りをしたり、魚釣りをしたり、双六をしたり、テレビゲームをしたり、積み木をしたり、ブロックで遊んだり、囲碁や将棋をしたり、一緒にケーキを作ったり、おままごとをしたり、人形遊びをしたり、かくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたり、かけっこをしたり……二人で一緒に、いろんなことを体験したかった。

　だから、晶が実は妹だって分かった時は、本当に驚いた。

　でも、今は晶が妹で良かったと思っている。

　クラスメイトの涼太が、友人の光惺に話しているのを隣の席で聞いていた僕は、自分と逆だと思って吃驚した。

　僕は妹が欲しかったんだ。可愛い妹が。そうしたら、妹が現れた。凄く可愛いんだ。でも、実は違った。親が再婚して、美少女の妹が出来たと思ったら、それが実は弟だった。美少年が女装していたんだ。そして、その美少年が僕をすごく気に入って、ふんどしとねじり鉢巻き姿で「兄い、兄い！」と呼んで風呂で僕の背中を流そうとしてくれるんだけど、それがちょっと困っている。僕は実は男装女子なんだ。バレたらどうしようと冷や冷やしてる。ずっと兄貴でいたいんだけど、距離が近いから悟られそうだ。