終.陽だまりの中。
最終話だワン。
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我は腹を上の向けて、スピスピと寝ておった。
キッチンでカチャカチャ音がしておる。
マンションの一室。
下僕1号と元の生活をしておる。
あの家から荷物も回収されて、全く元の生活じゃ。
玩具がちょっと増えたぐらいが変化した事かの。
ベランダでは洗濯物がパタパタしておる。
その間から陽の光が窓を通って我に降り注いで、ポカポカじゃ。
レースのカーテンが陽の光だけを通りして、暑すぎる日差しは遮ってくれてるらしい。
紙の上をペンが滑る音やパソコンの唸る音、カタカタ、カチカチ机の上で鳴ってるのも懐かしく思っておる。
床が軋む音も。
ここでは全然しない。
テレビの音が賑やかにしておる。
「ロドリゴル3世ぇ〜。ご飯だよぉ〜」
間延びする声は、下僕1号じゃ。
我、大好きじゃ。
大好き過ぎて、頭から彼に飛び込んでしまう。
いつも腹で受け止めてくれるが、グフッと何回かに1回は、そんな音がするが、咳き込んでおったりもするが、気にはしない。
我をいつも全力で撫でてくれる彼が大好きじゃ!
もう2度と車とケンカするでないぞ!
我を置いていくでないぞ!
我は、我は、寂しかったのじゃからな!
と思ったのが、随分前じゃ。
下僕1号は、車とやらとはケンカはしなかったが、階段に嫌われたらしい。
片手が暫く使えなくなったとやらで、我とお見合い中である。
我を見つめたままスマホを耳に当てておる。
「うん、荷物はまとめてある。下には運べそうにないんだけど……。……出版社のあの人くるの? …分かった。……うん、自分の事は出来るから。よろしくお願いします」
我、下僕2号のところへやられるようじゃ。
しっぽを振ってやらん。
お座りはしておるが、納得はしておらんぞ。
包帯を巻いた手が、なんというか、恨めしい。
スマホをしまうと、動く手でぐりぐり撫でられた。
「前回のような長くはならないから、少しの間おじさんのところに遊びに行って来て。ね?」
何が『ね?』じゃ。
二人の下僕は、この『ね?』が、なんとも、如何ともし難い雰囲気を醸し出して、仕方ないのぉ〜となってしまうのじゃ…。
納得はいかぬが、バカンスとやらと思ってやる。
いつか、お前もあそこで過ごすといい。
あそこは広々して、空が広くて、気持ちが良く、居心地がいいぞ。
だが、早く迎えに来るのだぞ…。
車窓の向こうに立つ彼に、バウッと吠えてやった。
車はゆっくり出発する。
またあの世話の焼けるモノグサのところに厄介になる事になった。
後部座席で寝そべり目を閉じた。
まぁ、アヤツのあの手は魅力的ではある。
車の振動を心地よく感じながら、荷物に埋もれて、眠った。
まずおやつを所望してやるところからじゃな。
我は、ロドリゴル3世なるゾッ!
愛でて可愛がる存在なのじゃからな!
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お付き合いありがとうございました(ぺこり
犬目線でBL書いてた感じですけど、人間模様とかというより、終活とか実家の処理とか役所関連の書類とか、色々あるんだよって、恨み節を書いてた気がします( ̄▽ ̄;)
随分と脚色して付属が諸々で元話の原型はほぼなくなって、まぁ、なんといいますか、もう少し悲惨に盛っておいても良かったかと思いつつ、こんなところで許してやろうって事で。
とまぁ、準備は自分も含め周りもして置くに越した事ないっすよって事ですわ( ̄▽ ̄;)
感想など頂けたら嬉しいです。
我はロドリゴル3世なるぞッ! アキノナツ @akinonatu
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