第一部 最終 25話:運命が交差する夜
アメンは何かを思い出そうとしているのか目があちこちを向いている。
一方、サラは顔色が青白く変化していく。
「俺は生き延びたんだよ。弟はお前に殺されたがな。だが、先月の仕事はうまくいったよ。」
「リュウ・・・さん?」
「はは、グランドバレーは岩を砕くのが大変だったが、お前のクリスタルガーデンの土はとにかく堀りやすかったよ。」
「・・・お前がやったのか!」
「うるせぇ、ゴミカスが!!!もともと俺とルカで見つけたものだ!!」
机を強く蹴飛ばすと、アメンは一瞬ビクッとなった。
「それでな。サラは今、妊娠してるよ。」
「えっ、センさん・・・!」
サラが先に驚いた顔で俺を見る。
「サラ!どういうことだ?」
サラに代わって答える。
「どうもこうも、俺の子供だよ。サラは俺を愛していてね。」
アメンはサラを鬼の形相で見つめた。
「・・・出ていけ!!」
「出ていけ!この売女が!」
サラは涙を浮かべつつもその場でじっとしている。
「そうか、お前はあのアジア人か。よく生きていたな。で、何の用だ?」
「何を強がってるんだ?お前の資産はもう無い。この街にお前の場所はもう無いってことだよ。」
アメンは何か心当たりがあるのか、どこかに電話をし始めた。
最初は威勢が良かったが、その内、青ざめ始めた。
「お父さん・・・」
「黙れ!この売女が!お前が仕組んだのか!」
「そんなことするわけないわ・・私はただ・・・赤ちゃんのことを・・・。」
アメンの顔はさらに赤くなって激高する。
「家に戻りたいんだったら、子供は堕ろせ!!」
「そんな・・・、センさん・・・」
サラは助けを求めるようにセンを見つめた。
「それは俺も賛成だ。これからクリスタル資産運用の仕事も忙しくなりそうでね。家族をもつ余裕はなさそうだ。」
サラはそれには特に反応せず、代わりにこう答えた。
「わたし、絶対に産みます!」
その後、センの事業はどんどん大きくなり、アメンは落ちぶれていき、住み家さえ失った。
サラは独身の状態で子供を産み、退院後、まっさきにセンの元へ向かったのであった。
子供を見ればセンの心が変わってくれると信じて・・・
第一部 完
クリスタルで運命が変わるって本当?工務店4代目の俺物語 はせがわ @hasegawa-sakura
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