第5話


「こんにちは」


「こんにちは」


 引っ越す前のちょっとした挨拶だと思っていたけど、どうやら違うみたいだ。いきなり、家の中に入れてもらえた。


 中は、すごく豪華だった。なんというか、品があるのだ。きっと価値がある絵などがたくさん飾られていた。


 しばらくすると、お母さんたちが談笑を始めたので、僕はこっそり抜けて塗り絵をくれたあの子を探した。


「こんにちは」


「こんにちは…」


 まずは、挨拶から始める。

 それから、しばらくして徐々に話に慣れてきたと感じた。

 今なら、きっとあれを渡せるだろう。


「これ、あげる。」


そう言って、僕も塗り絵帳を手渡した。


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