だいたい校門までが本気
絵文字不可
本文
あるところに学校がある。
その学校は部活のことしか考えないような青春バンザイ!な学校だ。
分かりやすく言うと、進学するときに必要なのは部活内の努力オンリーな学校である。
しかし、力を入れなくてはならないはずの部活の分野でさえ特別大会成績がいい訳では無かった。
それは部活しか頑張らなくていい、というのは学生にとってこれ以上うまい話はないが、はっきり言って将来性がなく、ただ単にそこに入ってもほとんど意味がないからである。
部活に力を入れているだけで実績も何もない学校というのは志望校にきめた時、クラスメイトにいじられる原因にしかならず、結局は有能な人材は集まらない、選ばれない学校と化しているのである。
もちろん卒業生で有名になる人はいる。
だが、大犯罪を犯した犯人。
もしくは謎の奇病、※必勝病にかかり、有名な大学に逆転合格したガリ勉だけが有名で、その他は履歴書で落ちるというのがザラである。
※思春期後期に勉強に目覚めてしまう病気で、有名な大学に逆転合格したい!という欲が抑えきれなくなるという病気である。
それで基本的に合計で人類にとって4分の1ほどの歩みしか行わないあってもなくてもいいような学校である。
そんな学校で、一番部員数が少ない部活は帰宅部である。
部活の良い点としては他は全員寮生活なのに、この部活だけは家に帰れることである。
部活第一に考える学校において他とはかなり違う部活で、何としてでも寮生活を経験させたい先生方の努力でいつでも所属人数がワースト一位の部活だ。
これはワースト二位の「ガリ勉同好会」を大きく下回る部員数で、このワーストトップの部活二個が所属するガリ勉を分け合う結果となっている。
もちろん、なぜあえてガリ勉が所属するグループを分けるのかというと帰宅部にはソロプレイヤーが、逆転合格同好会には協力、裏切り、合格を信条に掲げる人が入るという暗黙の了解である。
さて、そんな中、食堂の雰囲気が好みじゃないという理由で帰宅部に入った、和田(仮)くんの視点から一日を見ていこう。
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帰宅部は起床が早い。基本的に寮生活する生徒ばかりな中で、帰宅部というのは住宅街からちょっと離れている場所にある学校まで行き来する、という意味を持っているから。
だから僕は早寝早起き朝ごはんを努力している。小学生レベルの回答だが、朝に弱い僕にとっては光に目を慣らすことは重要な任務といっても過言ではないというのは過言だ(?)
用意をしてから小学生で憧れだった食べ続けているポケ〇ンパンを食べ、横腹の痛みを耐えながら無表情で自転車登校することが日に日に社交力がなくなっていく原因の一つ。
親が作ってくれた弁当を持ち、ちょっと長い道を自転車で漕いで行く、というのは優雅でもあり、かなりつらいことでもある。初めのころはなぜ帰宅部なんかを選んだのだろう、と考えもした。
しかし、今では自転車に乗っているとき、何も考えていない。これが煩悩を消し去る修行なら、このまま悟りを開いてお坊さんになれるレベルだろう。
慣れた、というのもあるが、将来夢を詰め込むわけでもない空っぽの頭は自転車をこぐことがめんどくさくて思考を止めてしまうからだ。
そのまま死んだ目、死んだ思考で漕いでいると、いつの間にか学校についてしまった。
校門につくといつもの怖い警備員が立っていた。
そこまで人通りもないのによくここまで存在感がある人を連れてこれたもんだといつも思っていることを上から目線でチラりとみて通ると、すぐ横にある自転車置き場に自転車を置いた。
校門近くまで戻り、これまたすぐ近くにある小さな事務所のような場所に入る。
中にいる担当の先生に挨拶をすると、帰宅部の部活カードを回収される。
これは少しの個人情報が記載されている画用紙をフィルムで保護している簡単なつくりのカードで、これを管理することで生徒の確認をしているという感じだ。
無事にカードの提出と確認が終わり、教室に入って自分の席に座った。
すると、後ろの席の所属部員数ワースト3位「だし巻き研究会」所属、
「和風のものを作るのだからに自分の髪の毛も和風にしないと!」
と髪の毛を和風のものがワサビしか思い浮かばなかったので嫌いなワサビ色に染めている、和風なものの間を取って通称「砂糖醤油」くんが元気よく挨拶をしてきたので、得意の会釈で挨拶を返し、絡まれるのを防ぐためにスルーして前の黒板のほうを眺めた。
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お昼になって聞く意味のない授業が半分終わった。
僕たち生徒は「授業の意味がない!」と割り切り授業を真面目に受ける気がなく、授業をする先生の人を舐めている節があるが、先生も先生でそう思われていると自覚しているからか適当に授業を行うために本当に意味の時間が過ぎていく。
ただ、これから食堂で相撲が開催されるので僕を置いてもうみんな出ていってしまった。
帰宅部には弁当があるからいらないけどみんなは学食で食べないといけない。だから椅子の取り合いになるから席を取っておく必要があるんだ。だから
さて、弁当を食べ終わったら必ずやらなければならないことがある。
それは朝回収された部活カードを回収すること。
帰宅部は誰も顧問の先生がおらず、放課後に渡すことができないため、昼休みに部活カードを回収しなければならない決まりとなっている。
職員室に向かっていると、前から今日は早く席が取れたのであろう、砂糖醬油くんが歩いてきた。
もともとだし巻き研究会に入ろうとしていたのに
「白いボール(サッカーボール)を上手に使って(ほかのプレイヤーを)巻いて決める部活でーす」
と勧誘され、
「白いボール(卵)を上手に使って(卵を)巻いて(おいしいだし巻きを作って女の子たちに)キメる部活でーす」
と思い込んで現在サッカー部と兼部中の砂糖醤油くんが。
悪い奴ではないけど、得意のタイプではないので下を見て歩いてスルー。
職員室につくと、他の帰宅部の人がちょうどスチャスチャ鳴らせながら出てきたことに気が付いた。
「こんちくわ。(スチャ)今日は走って帰らないか?(スチャ)」
「こんにちは。嫌です」
この走って帰らせようとしてくるメガネは分類上は「脳筋(帰宅時限定)ガリ勉」という珍しいタイプの人間で、こんちくわと頭の悪い挨拶をするのも、も頭にいい魚を食べる中で魚のすり身に頭を支配された人間ならではの挨拶だ。
「遠い距離(登下校)を走ったら体力つく上集中力もあがるのでは(天才)」
と他のガリ勉たちは
「調べるもの何もねぇ!寮だから許可下りないと本屋もいけねぇ!一人で勉強してぇ!」
というで帰宅部に入るのに対し、運動部に入ればいいんじゃ……と周りから思われているバカだ。
「カード取りに来ただけなんで。あと僕自転車通学なんで」
「ふ~ん。(スチャ)じゃあ勉強してくる。(スチャ)」
「はい。またいつか」
「うん」
……カードは入手した。また絡まれないようにしよう……
砂糖醤油くんの席の前に戻り、何か言われる前に軽く会釈した後、先生を待つようにした。
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……最後の授業の終わりが近づいている。
ということは僕たちの仕事の時間だ。僕はあのバカガリ勉との会話であまり走ることをしない人だと思われているかもしれない。
それは間違ってはいない。間違ってはいないがチャイムが鳴った後先生が出ていく次の瞬間には自転車置き場に走り出すという時間がどうしても好きで好きで仕方がないのだ。
(キーンコーンカーンコーン)
とかっこをつけているとスピーカーか金属音と電子音の成り損ないのような音が聞こえてきた。
号令をする係を押し付けられた砂糖醤油くんの挨拶の声を聞きながら、駆け出した。
本当は廊下は走るものではない、というのはわかっているが、今この瞬間だけは周りの怪訝そうな顔も廊下を歩いているさっきまで授業をダルそうに教えていた先生の迷惑そうな表情も気にならない。
身に受ける風を受けながら数秒間だけ全力疾走すると、もう階段についた。
階段を下りるのはそこまで得意じゃないため、こけないようにちょっと慎重に小走りで降りると、もう靴箱のところまでついてしまった。
ロッカーを開け、靴を取って入学してからの長い間この短い時間の全力疾走の負荷を受けてボロボロになった上履きを脱いでロッカーにしまうと、ロッカーを閉じる音を聞くより先に靴を履いて自転車乗り場に向かった。
実は帰宅部はその学校が終わってからの自由度から他の人の部活に迷惑をかける前に校門を出なければならないという決まりがあるのだが、その中でも毎回自転車を取って校門を出るのは僕が一番早い。
と他の帰宅部よりも早いという謎優越感に浸りながら自転車置き場につき、はやる気持ちを抑えつつ鍵を外す。
そのまま一気に校門まで自転車を押しながら恰好をつけようと自転車に飛び乗った。
が、校門の前に立っている顔が怖い警備員さんに自転車に飛び乗ることは危ないこと、ヘルメットをしていないことを優しく注意された。
恥ずかしい思いを隠して校門から角を曲がるまで、自転車を少し早く漕いで行った...
だいたい校門までが本気 絵文字不可 @s6mrBZNkMe7ZJXL
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