異世界転生したけど……あの転生者は今


 ※今回は、番外編です。以前の物語に登場した転生者がどうなっているか、何となく思いついたので書いてみました。






 ――俺の名前はモブオ、言っとくが好きでこんな名前にしてるわけじゃねぇ。俺を異世界に転生させた、ボーナス目当ての神という名のクソジジイがテキトーに付けた名前だ。


 俺が元の世界で死んで、異世界に転生してから早一ヶ月が過ぎた。俺は、未だにスライム一匹すら斃せていない……(´;ω;`)。


 つーか、何で行く先々に居るスライムの口から波●砲が発射されんだよッ!? あのクソジジイ、俺を直ぐに死なせる為にこんな危険地帯に放り出したんじゃないだろうな……?


 幸いにも、食料や水は確保出来る環境であり、何とか今日まで生存し続けている。特に、川の水が飲んでも大丈夫だったのが救いだな――飢えは何とか我慢出来るけど、流石に渇きはどうにもならねぇしな。


 ガシャガシャ。


「(ん? 何か、金属音みてぇな音が聞こえて――うおっ!?)」


 俺は慌てて身を隠す……何せ、重々しい鎧を纏った騎士が向こう側から歩いてきているからだ。騎士と言っても、そいつには首は無い。


 ゲームとか小説とか、アニメとか漫画とか――とにかく、その手の作品で見た事がある首無し騎士『デュラハン』って奴だろう。この世界に来て一ケ月、漸くスライム以外のモンスターに出会ったけど、未だにレベル1の俺じゃ勝てる可能性は低いだろうな……。


「(だが、待てよ。あの波●砲スライムを相手にするより遥かにマシなんじゃねーか? ちまちま攻撃して、逃げるを繰り返してたら何時かは斃せるかもしれねぇ)」


 よし、もしあの首無し騎士を斃せたら一気にレベルアップ出来るかもしれねぇ! 一か八かのギャンブルだが、やってやらぁ!!


 とりあえず、あの首無し騎士をサーチしてみっか! 俺はサーチのスキル使用しててみる――首無し騎士の情報が開示される。 


 デュラハン、レベル13


 HP100、経験値85、所持金70、要注意攻撃――波●剣。


 レベル13か。チマチマ攻撃して斃すのに結構時間が……ん? 波●剣?


 サーッと、血の気が引く。明らかにヤバイワードがあったから。この一ヶ月、俺を苦しめ続ける凶悪スライムと似たような技名が情報にあったからだ。


 そして、それは間違いでは無かった。キュイイイイイイイインという、ある意味で聞き慣れた甲高い音が聞こえてきた。


「ハッ(゚Д゚)!?」


 視線を前方に向けると、首無し騎士が大剣を構えている。剣を繰り出そうとしているのは、明らかに俺が隠れ潜んでいるこの場所――距離があるが、俺はここ一ヶ月の経験則で瞬時にその場から離れた。 


 直後、首無し騎士の大剣が巨大な●ームサー●ル風の刀身に変化して、こちら目掛けて降って来た。巨大な斬撃の落下地点には、巨大な亀裂が生じていた――落ちれば、正にあの世逝き決定な深さだ(;゚Д゚)。


 俺は地面をゴロゴロ転がりながら、何とか回避していた。


「(おぃいいいいいいいいいいいいいっ!? 波●系の攻撃が使えるのってスライムだけじゃねぇのかァァァァァァァッ!!?)」


 考えが甘過ぎた……どうやら、この世界には凶悪個体系のモンスターしか居ないらしい。しかも、この騒ぎを聞きつけたのか、凶悪スライム軍団にも見つかってしまう。


  キュイイイイイイイイン。


「ヒィイイイイイイイイイッ! お助けぇぇぇぇぇぇぇぇっ(;゚Д゚)!!」


  ああ……元の世界の親父、お袋、御元気ですか? 俺、異世界に転生して一ヶ月が過ぎましたけど、未だにスライム一匹斃せません。


 それどころか、今はそれに加えて首無し騎士にも追われてます。どうやら、この世界に普通の雑魚敵は居ないようです。


 俺、無事に生き延びられるかな……(´;ω;`)。





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異世界転生したけどシリーズ ロヒー2号 @sionasterdiaz

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