第97話「悪役令嬢ト地下ノ戦闘」
俺様達が遺跡となって埋もれていたフォルトゥナを、コアが収められていた部屋で復活させるのに成功した直後、
いきなり現れた黒装束の連中に突然「危険だ」とか言われた。けどさぁ、こいつらどう見ても忍者なんだけど!?
忍者だよな? 忍者だよな? しかもレイハの関係者って事は東方の国って事で思い切り日本みたいな国なわけだしさぁ。
「おいレイハ、何だよその忍者みたいな連中は」
「なんじゃニンジャとは。こやつらはウチの護衛じゃよ、影の民と名乗っておるがな」
「いや忍者だろどう見ても!」
「だからニンジャとかいうものは知らぬし影の民だと言うておろうが、しかし珍しいなこやつらが自ら姿を現すとは、普段はこちらから会いに行かないといかんくらいだというのに」
俺様とレイハが言い合っていても、彼らは特に何も言わず立っているだけだった。本当に余計な事はしないらしい。
【ご案内します。目標がこちらに到達するまであと1分です、速やかに退避して下さい】
「ねー、この人達ってレイハをずっと護ってたの?」
「うむ、一応ウチは本来あまり出歩いてはいけない立場なのでな。国元が護衛として付けてくれたんじゃが本当に護衛しかせぬのでな……。
旅に出た当初は食事の調達の手伝いすらしてくれなくてのぅ、危うく餓死する所じゃったわ」
冗談めかして言ってるけど、結構危い状況なのに護衛しかしないって、やだこの人達怖い。
【ご案内します。危険だっつってんだろ、さっさと逃げろや】
リアとレイハがしみじみと会話してると【ガイドさん】が今度こそ切れ気味に警告してきた、そういえば危険とか言ってたな。地面の下だからとのんびりし過ぎ過ぎたか?
「えー、でもあーしの前の身体本当にどうすんの?あーしは気にしないけど」
「置いていくのもったいないねぇ」
リアはそう言うけど実際これ機械の塊だしなぁ。学者とか技術者にとっては宝の山だろうけどさ。
そうこう言ってると、何か振動が近づく気配がしてきた。もしかしてもたもたし過ぎたか?いやだって忍者が突然あらわれたら気になるよね?
「マックス、もしかしたら俺は来たらいけない所に来てしまったのか?」
「今更遅いですよ、ここは色々と興味深いものが多いですがさっさとデコトラに乗せてもらってでも逃げましょう」
フェルドやマクシミリアンが俺様に乗り込んできたのを合図に、リア達も俺様に乗ろうとしてきた。
そういえば黒装束の連中はというと既に姿を消していた。
【ご案内……、3・2・1、来ます】
金属製の天井をぶち破って、何かがそこそこ広いコアルームの中に入り込んできた。
それは巨大な機械の塊、というかデコトラだった。あの黒いデコトラだった。
「うわっ!本当に来た!ここ鉱山の下も下だぞ!?」
「そういえば兄上がどうとか言っておったのぅ」
「あー、来たの失敗したかも知れない」「今更遅いですよ」
「【ガイドさん】!巡航ミサイル!」「やったれー!」
【ご案内します。巻き込まれるので却下です】
リアさん!?いきなり何ぶっ放そうとしてんの!?
《気配を感じて来てみれば又お前らか、また儂の邪魔をしに来たのか》
いや邪魔も何も、黒いデコトラ『スサノオ』はそっちがいきなり来たんでしょうにとは言い出しにくい迫力だった。
《姉上の依代となっていた女子もおるようじゃし今ここで「【ガイドさん】ミサイル」あっ。
リアがいきなり命令したミサイルはまっすぐ『スサノオ』に命中し大爆発を起こす。リアはその爆風を避けるかのようにギアをバックに入れてアクセルベタ踏みで掘ってきた穴を戻る。
「ちょっと待てリア、さすがにあの中にはウチの兄上がじゃな」
「まだまだー!もう何発かミサイル!レーザー!ついでに要らないドリルもはっしゃー!」
リアは突然やってきた相手やレイハの言う事に聞く耳も持たず、ミサイルやレーザーを雨あられと撃ち込みながら逃げる。
《待て貴様らー!話くらいぃ!!》
まだ何か言ってるようだが容赦なく撃ち込まれる弾幕にその口も閉ざされている。
「【ガイドさん】穴の天井にミサイル!」
さらに掘った穴を崩してどんどん埋めていく。もう完全に逃げに徹するリアさんである。
そしてそのまま発掘現場まで戻ったのだが、どうも違和感がある。
「あれ?技術団の人達は?」
「そういえば、気絶しとるはずだがおらんの」
リアもレイハも辺りを見回すがスタンボルトで気絶させたはずの人々が誰一人いなくなっている。
「おい、まさかさっき戻ってきた俺様達が開けた穴の中にいたんじゃなかろうな?」
気絶させられて目覚めてみたら、遺跡の奥へ向かう穴があれば誰だってその中に入ろうと思うだろう、ならこっちに戻ってくるときに轢いちゃったんじゃ?
「それでも全員、って事は無かろう?」
レイハの疑問に答えるように【ガイドさん】が答えてくれた。
【ご案内します。答えは否です、念の為『スキル:
それじゃ、本当に誰もいなくなったって事?不気味だけどさっさとここから退散すべきなんだろうか、もたもたしてると『スサノオ』がこっちに来るだろうし。
「いやご苦労、ではこの遺跡のコアを渡してもらおうか?」
いや、一人だけいた。ここに来ていないはずのリヒャルト皇帝だった。
次回、第98話「悪役令嬢ト戦争」
デコトラ悪役令嬢 白刀妃 @HAKUTOUKI
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