第96話「悪役令嬢ト強襲」
俺様達が遺跡中枢部にてディスプレイに映っているフォルトゥナと会話してる間にも、【ガイドさん】は色々と何かをしてくれていたらしい。
眼の前の何だかわからない装置に光が灯り、遺跡そのものも低い音を立てながら鳴動を始めた。
【ご案内します。それではフォルトゥナ様を最小単位のセーフモードでサルベージいたします】
【ガイドさん】の声と共に目の前の装置の光が強くなった。よく見ると眼の前のは光翼教の教会に安置されている救いの天使像に良く似ていた。
その胸部分が開き、蒼く光る球体が出てきた。
【ご案内します。デコトラコアの摘出を完了、フォルトゥナ様の意識を転送いたします】
ディスプレイに表示されていたフォルトゥナの姿が消え、蒼く光る球体の放つ光が強くなる。
同時に、天使像が糸がほどけるように分解し、細かい部品へと解体された。
【ご案内します。現状保有している
バラバラになった部品が、形を変えて一箇所に集まってゆき、小さなデコトラが出来上がった。
「やったー!あーし!完全!ふっかーつ!ヤッタ♪٩( ᐖ )و٩( ᐖ )وヤッタ♪」
「いや、お主だいぶん小さいぞ?」
フォルトゥナは喜んでいるが、レイハが突っ込むようにそのボディサイズはかなり小さく、1m程しか無い。
【ご案内します。現状ジャバウォック様が保有しているDEではフォルトゥナ様の分まで賄えません。最小単位で再構成いたしました】
この遺跡そのものを復活できたら、かなり凄い事になるからもったいないけどなぁ。
元の状態よりも相当小さくなったフォルトゥナの方は特に気にしていないらしい。
「あーしはさんざん自分を強化したり進化させたりだったからもう良いよー。なんか、
「ねー、何があったの?こんな大きかったら強かったんじゃないの?」
「リアっち、よくぞ聞いてくれました!あーしはレティが転生する事になった時どうするかって聞かれて、もうあっちこっちの時代に行くの嫌だから、お仲間の多いデコトラ文明が良いってお願いしたんだよね。(๑•̀ڡ•́๑)و」
「ほうほう」
「それでさー、ある進化したら城になれるじゃん?ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ」
「うんうん、いやなれねーよ。なんだよその進化」
リアに続いて話に混ざってたけど俺様も思わず突っ込んでしまったぜ。
【ご案内します。ジャバウォック様の進化が足りないだけです、現状でも風属性ですので、DEさえ許せば
なにそれこわい。俺様どうなっちゃうの?俺様ただのデコトラだよ?
「ジャバウォック……、お主また何かやらかそうとしとるのか」
「違うよ!?俺様何もしてないよ!?」
レイハがジト目で見てくる、不本意だ。
「まーとにかく、あーしは城形態になってたの。そんで空高く飛んでれば地上の争いを避けられると思ってたんだけどさー。( ,,ÒωÓ,, )ドヤッ!
「そりゃ……、戦争始まったら落とされるんじゃないか?」
「違うし!あーしは何度も時代を行き来してたから、どこが安全か良く知ってたんだってば!何故かその時だけ戦争が上空にまで広がったんだっての!⁽⁽(੭ꐦ •̀Д•́ )੭*⁾⁾」
「わ、わかった。俺様もその映像見た事あるけど、浮かんでたのは、ほぼ宇宙空間だったよな?その割にはこの街は形を保ってるしよく無事だったな。住んでた人達だっていたんだろ?」
「あの時はどうしようかって思ったねー。街の人達助けないといけないから、落下の瞬間みんな安全な所に転移させて、あーしは激突する時のエネルギー利用して転移したんだけどさー、
向かう先を設定するの忘れてて、こんな地下の奥に転移してしまったというワケ。(இдஇ`。)」
思わぬ形の再会と、様々な歴史上の事件を垣間見てしまったな、とはいえこの後どうしたもんかね?周囲はデコトラの素材だらけだ、放置していくのなぁ。
「なんだかよくわからんが、話を聞いてみてもよくわからんな……」
「フェルドが知る歴史以前の事ですからね、私も興味深く聞かせてもらいましたが、さすがに技術体系が違いすぎて個人の手には余りますね。
で、これからどうするんですか?とりあえずデコトラの人格は救助できたようですが、周囲の遺跡はそれこそ帝国のデコトラ技術団が根こそぎ持っていきますよ?」
「それはちょっと面白くないな、帝国は今急速に周辺諸国への武力介入を進めてるからな。一気にこんなのが手に入ったらろくな事にならんぞ」
フェルドとマクシミリアンの言う事ももっともなんだが、俺様の手にも余るんだよなこれ。
「【ガイドさん】、周辺のデコトラ部品とかを魔物素材みたいに収納してしまうとかできないの?」
【ご案内します。今現在周辺にあるものは魔物等の素材とは異なり、既に生成されてしまったものですので、分解・吸収には相応のDEが必要となります。先程のフォルトゥナ様の再構成でもそれが原因であのような姿での再起動しか無理でしたので】
無理かー、とはいえ、どうにもならんのも現実なんだよな。
すると、突然俺様達の周囲に黒い衣装の人物が数人現れた、まるで瞬間移動してきたかのように。
「何だこいつら!」
「何の気配もありませんでしたよ!?まずい、数が多すぎる」
「あー、待て待て、ウチの関係者じゃ。案ずるな」
慌てるフェルドとマクシミリアンをレイハが宥める。とはいえ警戒しても無理ないだろこいつら、黒装束で顔は覆面みたいに覆われてるのでまるで忍者だ。
「珍しいの、お主らがウチの護衛を切り上げて姿を現すとは」
「ははっ、殿下がお気づきになられておられないかも知れず、警告の為に注進申し上げる為でございます。こちらに向けてかなり巨大な何かが向かってきております、ご注意を」
突然現れた黒装束の人の一人が丁寧に教えてくれた。しかしレイハが殿下って、やっぱりそれなりの人物だったのか。護衛までずっとついてきてたのか?
【ご案内します。今まで特に危険が有りませんでしたので報告はしておりませんでしたが、ずっと追跡されておりました。ですが彼らの言う通りです。地下でしたので検知が遅れましたが、こちらに向けて巨大なデコトラ反応が近づいております】
「お気をつけ下さい。今こちらに向かって来ているのは、兄上が乗っ取られている黒いデコトラ『スサノオ』のようです」
……え?
次回、第97話「悪役令嬢ト地下ノ戦闘」
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