デコトラ悪役令嬢

第95話「悪役令嬢ト『転生』」

というわけで、俺様達は遺跡の中枢にまでやって来た。

途中の描写はどうしたかって？だって周りは岩とかしか無いんだぜ？一直線に掘り進んだだけで終わっちゃうの。

「あ、掘り終わったのか？」

「この中はまるで振動も何も無いのでどうも進んたという気がしないのですよね」

フェルドやマクシミリアンがそんな感想を漏らすが、 何にせよここまでくればコアまでもうすぐなはずだ。

たどり着いたと言っても、デコトラ街の大通りを掘り進んで中心部の建物にたどり着いた所なんだがな。さすがに進む為とはいえデコトラのボディに穴を開けるのはちょっと嫌なので手前で止めさせてもらった。

「えー？もう終わり？この中にも穴けて掘って入ってコアまで行ったら良いんじゃないの？」

「お主たまに怖いわ、ためらいというものを知らんのか。」

「リアさん……、これフォルトゥナの身体なんだからさ、穴なんか開けたら復活した時に余計な修復が要るでしょ」

この子フォルトゥナのデコトラコアめがけて一直線に進むつもりだったよ怖い。程よく俺様達が止めないとなぁ。

【ご案内します。正面やや左に入口がありますので、そこから内部に入って下さい。】

【ガイドさん】の指示で俺様達は建物の中に入っていく。俺様は今更隠しても仕方ないのでリアの鎧になっている。

「派手な鎧だと思ったらデコトラが変化していたのか。強いはずだぜ」

「そいつはどうも、お初にお目にかかるぜ、俺様はデコトラのジャバウォックだ」

「うおっ！鎧がしゃべった！」

「時おり誰かに呼びかけていたのはこれですか」

「んー、まとめてスルー、行くわよ。話聞きたいならジャバウォックに聞いて」

「説明するだけも一苦労じゃからな……」

俺様達は雑談を交えつつ建物のの中を進んでいった。灯りは乏しいが迷うことは無い。

なにしろあちこちの光る表示ディスプレイに『リーリア様御一行大歓迎→』『コアはこちら→』『おいでませフォルたんのコアルーム→』とか表示されてるからな。

「残り少ないDE（デコトラエネルギー）で何やってるんだよ……」

『えー、あーしの所に早く来てもらう為なのに酷くない？ಠ_ಠ』

俺様達は特に妨害を受ける事も無く奥へと進む、こういう場合って罠とかが仕掛けてあったりするもんだけど、それも特に無い。

『あーしを助けに来てくれてるのに、そんな事するわけないんですけどー。(≖＿≖)』

「ここか？中枢部って」

「デコトラの内部というより、趣味の悪い酒場だな……。」

コアルームとかいうのに到着したらしい。俺様達がたどり着いたのはデコトラコアを収めている中枢部に位置する部屋だ。

とはいえフェルドの言うように装飾もまたデコトラ、アルミやステンレスの輝きを話す板で囲まれ、装飾は俺様が放つ灯りを反射してまばゆく光る。

元々人を中に入れる為の部屋ではないのだろうが、やたらにギラギラと光るのでまぶしいのなんの。

「おーい、来たぞフォルトゥナ。【ガイドさん】、どうすれば良い？」

【ご案内します。先ほどと同じように端末の端子に指を近づけて下さい。ＤＥの供給と共に現状の分析に入ります、フォルトゥナ様と雑談でもしてて下さい】

雑談って。

「うおおおおおおおおおお！！フォルトゥナたん、復ー活っ！＼٩( ᐖ )و／ヤー」

「おおー！」

文字でしか会話できなかったフォルトゥナが、ディスプレイにデフォルメされた姿が映し出され声を出せるようになった。再会にリアが拍手で迎えている。

「おいフォルトゥナ！いきなりですまぬがルクレツィアはどうなった！一緒じゃなかったのか？」

レイハが詰め寄るようにフォルトゥナが表示されているに詰め寄った、よほど気になっていたんだろう。

「あー、レティなら大丈夫だよ？色々あって転生したから.*・(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ ゥンゥン」

「転生じゃと！？いったい何があった？」

『デコトラ聖女』ことルクレツィアは、己の罪を償う為にデコトラと一体化し、”天使”としてこの世界を去っていったのだ。

意見が対立する事があったり色々と関わる事のあったレイハは、置いていかれたような形になっていた。

レイハは表向きそれに対する思いを表情に出すことは無かったが、時折寂しそうな表情で空を見上げる事があった。

「レティとあーしは本当に色々あってさー、最初は機塊神之大戦が終わった直後に転移して、荒廃した世界に救世主として降り立ったの。°ʚ(*´꒳`*)ɞ°.」

「おい、それは光翼教の守護天使の事ではないのか！？あれお主らじゃったのか！？」

いきなりとんでもない情報出てきたな。守護天使ってのは俺様も見た事がある、光翼教の教会の祭壇で十字架の人みたいなノリで飾られている天使像の事だった。

「そーそー、いっぱい奇跡起こして大勢の人を救ったんだけどさー、役目終えたら今度は今の時代から数百年後に飛ばされてさー。あーしらは神様か何かのパシリかっての。(눈_눈)」

「過去へ戻ったり未来に行ったり忙しいのお主らは、その様子じゃとお主だけでまたデコトラ文明時代に戻ったようじゃし」

「そーなの！４２８回目の転移であーしだけデコトラ文明時代に飛ばされてさー。レティは役目を終えたって事で転生の環に戻る事が許されたの。(∗˃̶ ᵕ ˂̶∗)」

「お主ら、それこなすのに何年かかったんじゃそれ……。で、ルクレツィアは結局どうなった……？」

「レティは今から数年後に同じ名前の侯爵令嬢に生まれ変わるってさ。もうちょっとしたら会えるかもね。ദ്ദി(⩌ᴗ⩌ )」

「いや会えるとは言っても赤子じゃろうに。じゃがまぁ、二度と会えぬよりはマシと思うべきかのぅ……」

「うんまぁ、見てきたから言うけど、何だかんだ幸せになるよ？未来の知識でいろんな商売始めたりするし(。'-')(。,_,)ウンウン」

フォルトゥナの言葉でレイハはちょっと安心したようだ。４２８回分の転生知識ならいろんな事知ってるだろうし、その商売というのも上手くいくと良いな。

【ご案内します。それではフォルトゥナ様の処置を開始いたします】

次回、第96話「悪役令嬢ト強襲」