第2回カワイ子ちゃんドラフト会議
「呼び出すなら何があるかくらい教えてくれてもいいよな?」
「ひっち故致し方なし」
かずやんとだーいしがひっちの呼び出しについて話をしていた。
いつも通りと言えばいつも通りである。
「大丈夫だよ、多分死なないから」
「たまさんえらい投げやりだなあ」
たまさんの一言にかずやんが驚く。
そうこうしていると、いつものように三人はひっちの家にたどり着く。
「どうせまたしょうもないことで呼び出したんだろうね」
「言うなよたまさん、そんな気しかしなくなるから」
たまさんがさらりと言うのだが、かずやんが聞き逃すことはなかった。
「おお、みんな来てくれたか」
三人を迎えるひっちがニッコニコの表情を浮かべている。
「それで、我らは今回何をするのだ?」
「だーいし、よくぞ聞いてくれた」
話をもったいぶっていたひっちがついに口を開く。
「第2回カワイ子ちゃんドラフト会議、inディメンションワールド!」
「「「で、出たー!」」」
予想通りの展開に三人が一斉に反応する。
「カワイ子ちゃんをチェックすることは『とれねーべ』を押さえることにつながるのだ!」
「『トレンド』のことじゃない?」
「トレンドを追っかけても視聴率は取れんど~!」
「何か言い始めたよ」
ボケにボケるひっちをたまさんが捌こうとするも、捌ききれていない。
そのままひっちの思い付きで話が進んでいくことになる。
「ルールは簡単、ディメンションワールドで会った女の子で誰がいいかを決める」
「あ、あとクリスたそは反則ね」
ひっちが簡単にルールを説明し始めた。
「おれはマミィたそがいいなと思ってるけど、体がないからなぁ」
初手からひっちが好みの子について語り始める。
非常にオープンな男ひっち。
「たまさんはマダムかい?」
「何でさ!」
流れるように飛んできたひっちからのフリにたまさんも勢いよく返してみせる。
そして、この会議は意外な方向に話が進んでいくことになる。
何故だか分からないが、『第2回カワイ子ちゃんドラフト会議、inディメンションワールド!』はひっちを挟んでのプレゼン形式になってしまっていた。
片側にはかずやんとだーいし、もう片側にはたまさんが座っている。
かずやんとだーいしがミリアム姫、たまさんがジョーンの名をを挙げている。
もはやドラフト会議などそっちのけ状態だ。
「たまさんがジョーンたそを選ぶのは意外だな」
「言われてみればそうだな」
「何かあるのかたまさん?」
たまさんが何故ジョーンを選んだのか、ひっち、かずやん、だーいしと不思議がっている。
たまさんはどちらかと言うと可愛い系の女の子を好むイメージが三人にはあったからだ。
「内緒にしてくれる?」
「何だ何だ、どうしたんだよ」
たまさんが急にもじもじし始めたので、かずやんが気にしている。
「実は、見たんだ……」
「何がだ?」
だーいしもたまさんの発言を食い気味に待ち構えている。
「ジョーンさんの胸チラ」
「「「のわあああにいいいい!」」」
「おいたまさん、抜け駆けでラッキースケベ決め込んでんしゃねえよ!」
たまさんのカミングアウトに衝撃を受ける三人。
かずやんが思わず大声でツッコミを決めてしまう。
「た、たまさん。ジョーンたその渓谷はどうだったのだ?」
「そりゃあもう深かったよ」
「うひょーーーっ!」
たまさんの証言から妄想を膨らませたひっちが歓喜の声を上げる。
巨乳スキーなら当然喜ぶだろう。
ひっちの思いがこれで完全にジョーンの方へと傾いていた。
そんな時に水を差す男がここに一人。
「つまるところ、色気で男を惑わそうとしたのだな。何ということだ」
「だーいし、それは言い過ぎだよ。偶然だったんだし」
だーいしの老害ジジイかフェミニストかと言わんばかりの意見が炸裂する。
これにはたまさんがその偶発性を説明し始めた。
「姫のいいところは無邪気さゆえにやらしさがないところだな」
かずやんが二人の議論を聞き、だーいしの反論に付け加えている。
二人の反転攻勢が始まる。
「異世界の姫様というひっちの理想郷を体現した女性だとは思わぬか?」
「うんうん」
ひっちがだーいしの意見に頷き、議論は振り出しに戻る。
「でもそれって、姫の魅力に物言わせてるってことにならない?」
「理詰めは友達を失うぞ、たまさん」
「何でそうなるのさ! 理詰めじゃないから」
たまさんの意見にだーいしがいちゃもんみたいな返しをし始めた。
これにはたまさんも我慢できなかったのか、声を大にして返した。
「ディメンションワールドでいっぱいカワイ子ちゃんに会いたいね」
「結局それが言いたいだけではないのか?」
結局最後はひっちが一言感想を言って全部持っていってしまった。
だーいしがひっちに思わずツッコミを入れるも、ひっちの耳には入ってなさそうだ。
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