ひっち過激団 大喜利大会
「さーて、今週のミッションはー?」
「クリスさん、そんなご長寿番組みたいに言わないで下さい」
クリスが謎のハイテンションでひっち過激団をミッションに誘おうとするので、たまさんが一言添える。
「ミッションは『ハイテクな世界』で依頼主は一条博士です。緊急度3、重要度3、難易度3となっています」
「そうなんだね、クリスたそ。おれ聞きたいことがあるんだけど……」
ひっちが唐突にクリスに質問を始めた。
「ひっちさんどうかしましたか?」
「クリスたそとマミィたそって何か関係あるの?」
「実は彼女と私は同じデザイナーさんの設計なのです。私も彼女も幾度となくバージョンアップされているので原型からは離れているかもしれませんが……」
クリスがサラリと衝撃の事実を告げる。
皆が驚きを隠せない中、ひっちだけが異様にテンションを上げている。
「やっぱそうなんだよなあ、AIが人類を超える。これが『心中してヤリてえ』なんだよなぁ」
「『シンギュラリティ』だよひっち」
ひっちの無理やりが過ぎる間違いに、たまさんが容赦のない訂正を入れた。
「たまさん今のでよく分かったな、ファインプレーじゃないか?」
「俺もそう思う」
ひっちとたまさんのやり取りに、だーいしとかずやんが思わず感嘆している。
「それにだな、クリスたそとマミィたそを両方攻略すれば姉妹丼! うひょおおおっ!」
「ひっちってホントめでたい奴だよな」
ひっちのどうしようもない発想にかずやんが呆れ返ってしまっている。
至極当然の話だ。
「なのでひっちさん、私の分まで彼女のことよろしくお願いします」
「任せてよクリスたそ! よしそれじゃあひっち過激団出撃!」
クリスにまんまと乗せられて、ひっち過激団は『ハイテクな世界』へと向かうこととなった。
ひっちが『ハイテクな世界』に着くなり、やたらそわそわしている。
「おれたちは博士に直訴したほうがいいと思う」
「どうしたんだひっち?」
「マミィたその実体を作ってもらうべきだ」
「そう思ってるのはひっちだけだぜ」
神妙な顔をしたと思ったらしょうもないことをひっちが口にしだした。
これにはかずやんが苦笑いしている。
「無理強いはよくないぞひっち」
「ダメなの?」
「ああ」
「人の映画を批評するくせに自分が脚本すると大コケした映画評論家とどっちがダメ?」
「どっちもダメ! まあ、後者は事情があるらしいが……」
ひっちとだーいしが奇妙なやり取りを続けていた。
かずやんとたまさんはどう反応すればいいのか分からなかった。
「とりあえずさ、研究所に行こうよ」
たまさんが強引に今までの雰囲気を壊していく。
研究所へ向かうと、一条博士とマミィが出迎えてくれた。
「よう来たな、待っとったぞ」
「皆さんこんにちは」
「「「「お世話になりまーす」」」」
「立ち話もあれだから、わしの発明を見ておくれ」
そう言うなり、発明品を一条博士が披露する。
「これってどうみても『アレ』だよね……」
「ああ、『アレ』だよな」
たまさんとかずやんがひそひそ話をしている。
前回と同じく、どう見ても番組のセットのようなものが目の前にはあった。
今回は全体的に和風な造りになっているのが特徴だ。
「そう、これこそが『
一条博士が得意げに紹介している。
「さあさあ、みんなして座布団の上に座ってくれ。マミィ、セッティングを頼むぞ」
「かしこまりました。起動します」
ひっち過激団は一条博士に言われるがまま、座布団の上に座っていった。
セットからは大きな拍手が聞こえてくる。
「皆さん『焦点』の時間が参りました。司会のウタマロです」
司会者のロボットは何故か全体的に装甲が薄い。
「この『焦点』は一条博士の発明品でございます。そこで皆さんには『は、か、せ』の三文字を使ってあいうえお作文を作っていただきます。皆さんはヒントを私に言って下さい。それに私が『何ですか?』と聞きますので続けてお答え下さい」
頭の薄い司会者がお題を読み上げた。
そして唐突に大喜利が始まる。
しかし、それで縮こまるひっち過激団ではなかった。
「はい」
「はい、たまさん」
「理想の美少女です」
「何ですか?」
「
たまさん渾身の回答に思わずドヤ顔をかます。
「きれいじゃない。
たまさんに座布団が配られる。
「じゃあはい」
「かずやんさん」
「中二病が喜ぶ言葉です」
「何ですか?」
「ハーケンクロイツ カタストロフィ
「せっかくだから横文字で揃えて欲しかったね、他に誰かいない?」
かずやんがちょっとだけ悔しそうな表情を浮かべる。
「はい」
「だーいしさん」
「全国のお父さんです」
「何ですか?」
「
「これもいいじゃない。矢場田くん、だーいしさんに一枚あげて」
だーいしが両手を上げて喜びを表現している。
「他に誰か、それじゃひっちさん」
「文句を言います!」
「何ですか?」
「ハゲジジイが! かかってこいや!
「矢場田くん、あいつの全部もってって!」
そしてひっちが当たり前のように座布団を全部没収されてしまった。
「これ何に使うつもりなんですか?」
「名人ウタマロをインストールしとるのだが、愛され司会者チョウタの方がよかったかの?」
「いやそういう問題じゃないんですけど……」
我に返ったたまさんが思わず一条博士にツッコミをかます。
一条博士はあくまで真面目に製作しているつもりなのだろう。
とはいえ、ひっち過激団も何だかんだで楽しんでいたので、悪いものでないことは確かと言える。
「博士、データが取れましたね」
「うむ、生のデータが取れるのはいいことだ」
マミィと一条博士が満足そうなやり取りをしている。
そんなにいいデータと言えるのだろうか。
ほのぼのとした時間が過ぎ去ろうとしていた、そんな時だった。
研究所内でアラートが響き渡る。
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