SAME

 学校の昼休み、ひっち過激団は昼食を取っていた。

「やっぱ同級生一のカワイ子ちゃんと言えば清華せいかたそだよな~」

 ひっちが弁当を食べながら学校の女子について話をしていた。

 学校ではよくある光景だ。


「そこは明乃あけのちゃんだろ~」

 かずやんがひっちの話に乗っかっていった。

 こういう話は好みで意見が分かれるところだ。

「後は真里亜まりあちゃん、絵理奈えりなちゃんが候補に挙がってくるだろうな」

「やっぱあの四人だよね、SAME《セイム》の」


 だーいしとたまさんも後から話に乗っかり始めた。

 ひっち達の学校では清華、明乃、真里亜、絵理奈の四人が同級生のカワイ子ちゃん四天王である。

 その人気は絶大で、同級生だけでなく先輩の男たちからも言い寄られることが少なくないという。


「SAMEとは言うが、全くもって同じではない。世の中は不平等だ」

「スクールカーストだねぇ~。まあ、あの四人の名前の頭文字を取っただけなんだけどさ」

 だーいしとたまさんも何とも言えない表情で話をする。

 スクールカーストという言葉が存在しているということ自体、世知辛さというものを痛感させられる。


「やっぱ清華たそが一番!」

「その根拠は?」

 かずやんがさらりと探りを入れる。

「うぉっぱい、うぉっぱい、うぉーっぱい!」

 おっぱいフェチここに極まれり。

 ひっちはやたら興奮しているのか、おっぱいを『うぉっぱい』と言ってしまう始末だ。


「あーっ、また何かいやらしいこと言ってる」

 その声を聴いてひっち過激団は慌てて声がする方を振り返る。

(この声は明乃ちゃんか……)

 かずやんの予想通り、そこにはSAMEの四人がいた。

 明乃は低身長ながら出るところが出ているボディと、元気いっぱいの声が人気の可愛い女の子だ。


「不浄ですね」

 隣では真里亜がぼそりと呟く。

 真里亜は黒髪ロングで、清楚さを全面的に押し出した美人タイプの女の子である。

 そしてスタイルも良い。


「そんないやらしいことばかり考えてたら女の子にもてないぞ」

 清華がびしっとひっち過激団に言い放った。

 清華はひっちが好む巨乳で、その大きさは制服越しからでもよく分かる。

 面倒見がいいためSAMEではリーダー的存在だ。


「それじゃ」

 最後に絵理奈がひっち過激団のそばを通り過ぎていく。

 絵理奈は新体操をしており、その立ち居振る舞いからか可憐という言葉がよく似合う。

 SAMEの四人がその場を後にする。

 その様子からひっち過激団はさして相手にされていないようだ。


「くそー、清華たそに変なところ見られちまった」

「ひっちの変じゃないところを探す方が難しいんだけどね」

 たまさんがひっちにさらりと毒舌をかます。

「今度会ったら清華たそを手籠てごめにしてやる!」

「完全に悪役のセリフなんよ、それ」

 かずやんが呆れ声で言葉を返す。


 そんな時だった。

 ひっちのスマホにラインが届く。

「クリスたそからかぁ、なになに」

「どうしたのさ、ひっち?」

「ディメンションワールドに新しい世界が現れたから来て欲しい、だってさ。今日みんな集まれるな!」

「あらー」

 ひっちから意外な言葉が返ってきたので、たまさんは思わず驚いてしまった。


「ひっちはともかく、俺たちは部活があるからな」

「帰宅部には分かるまい」

 かずやんとだーいしが反論する。

 特にだーいしはいつものように部活動マウントを取ってきた。

「じゃあ晩に集合できないか?」

「厳しいね、正直。勉強の予習復習だってあるし」

 たまさんが頭を抱えている。


「えーい、お前らにはクリスたその苦しみが分からんのかー! 十八時にうちに集合出来るようにしてくれ!」

「遅れてもいいなら行くぞ」

 ひっちの必死の思いにだーいしが答える。

「僕もそうするよ」

「しゃーねぇ、俺もだな」

 たまさんとかずやんも同意してくれたので、ひっち過激団は再びディメンションワールドに向かうこととなった。

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