おっぱい談義とカップラーメン

「おっぱいはいい! いいものはいい! 例え時代が移り変わろうとも!」

 ひっち過激団はひっちの家でおっぱい談義に花を咲かせていた。

 あくまでひっちが一方的に、だが。


「だから諸君、おっぱい談義を始めようではないか!」

「ああ、始まったよ。ひっちのいつものが」

「だねー」

 かずやんとたまさんはまたか、と言わんばかりの顔をしている。


「おれはやっぱり大きいおっぱいがいい! そうだな、Eカップは欲しいところだな」

 ひっちが堂々と理想のおっぱいについて主張する。

 そこには照れや嘘というものが一切ない。

 混じりっけのない彼の切なる願いなのだろう。


「はーい、俺はCカップね」

 かずやんがあっさりと答えた。

 そこには主張というものはなく、意見として言っているようだ。


「女性を見るのに胸を判断基準にはしておらん」

 だーいしもだーいしらしくきっぱりと主張した。

 意志の強さがうかがえる。


「パイオツの性能の差が戦力の決定的な差ではないということを教えてくれ! そのパイオツで教えてくれ!」

「何言ってんだよひっち」

 かずやんがたまらずひっちの意味不明な発言にツッコミを入れる。


 そんな中、たまさんだけがもじもじしていた。

「うーんとえーと」

「さあ、恥ずかしがらずに言ってみるんだ。たまさん!」

「そりゃ大きかったら嬉しいよ……」

「どれくらい?」

 ひっちにリードされながらも、たまさんが意を決して口を開いた。


「Dとか、かな」

「たまさんはむっつりだなあ」

 かずやんが思わず感想を口にしてしまった。

 たまさんは恥ずかしさのあまりみんなと目が合わせられなかった。


「みんなの意見が揃ったし、腹も減ったしだからお昼にしようぜ!」

「賛成だ」

 ひっちの提案にかずやんが同意する。

「大佐、お湯はもらってもいいかな?」

「いいよー」

「かたじけない」


 みんなそれぞれに持ってきたカップラーメンを食べることに決まった。

「そうと決まればお湯準備しないとだね、ケトル使って準備するよ」

「たまさん頼む」

 たまさんはお湯の準備、ひっちは先んじて自分が食べるカップラーメンの準備を始めた。


 かずやんとだーいしは机の片づけをしている。

「だーいしは何買って来たんだ?」

「これだ」

「おお、塩ラーメンかあ。最近食べてないな」

 かずやんがだーいしのカップラーメンをまじまじと見つめながら質問をしていた。


「かずやんはいつものか?」

「いいや。豚骨は豚骨なんだけど、いつもと違うメーカーにしてみたぜ。何ていうか、パッケージ買いというやつかな。今世紀最大の衝撃って書いてあるんだぜ。食べないわけにはいかないよな!」

 かずやんもだーいしに買ってきたカップラーメンを見せた。

 カップラーメンでここまで楽しく話が出来るのだから幸せというものだ。


「お待たせ、お湯出来たよ」

「よっ、待ってましたー」

「頂戴致す」

 みんなそれぞれのカップラーメンにお湯を注いでいく。

「たまさんは喜多方ラーメンにしたんだな」

「そうそう、前回が尾道ラーメンだったからね」

「やはりたまさんはむっつ……」

「それは関係ないでしょー!」

「冗談、冗談だって」

 かずやんがたまさんをからかいながら、カップラーメンの出来上がりを待っていた。


 そうこうしているうちにタイマーがなり響く。

「時は満ちたか」

「おっ、出来上がったな」

 だーいしとかずやんが割り箸を手に取り、カップラーメンをすすり始めた。

 二人の向かいではひっちが勢いよくカップラーメンをすすっている。

 しかもニンニクマシマシのタイプだ。


 隣のたまさんがちょっと迷惑そうな顔をしている。

 食べ盛りの高校生にはちょっと少なかったのか、みんなあっという間にカップラーメンを食べ終えてしまった。

「あー食った食った。ちょっとトイレ行ってくる」

 そう言ってひっちはトイレに駆け込んでしまった。

「みんな食べちゃったみたいだね、どうする?」

「片付けとけばいいんじゃない?」

「そうだね」

 食べ終えたカップラーメンはたまさんがシンクでスープを捨てていった。


 そうこうしているうちにトイレからひっちが帰ってきた。

 ただ、その表情は少々険しいものがあった。

「捨~てた~な~!」

「ええっ、どうしたのひっち?」

 ひっちが怒りに震えている。

 思わずたまさんがびっくりしてしまう。

「ラーメンのスープにゃ、ライスを、インでしょうがあああっ!」

「「「ひいいいいいっ」」」

 ひっちはカップラーメンの残り汁にご飯を入れて食べたかったようだ。

 ひっちの叫びを聞いた三人は思わず驚いてしまった。

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