第18話 ただならぬ気配
掴まれた腕を振り払うため、必死に抵抗を試みる春花。やはり
「――だから痛いっていってるでしょ!」
掴まれている腕の痛みに顔を歪めながら、春花は
「やめろよ、春花が嫌がってるじゃん」
この状況はまずい。そう判断した夏樹は二人に声を掛け、どうにか春花から手を放させようと
「うわ! なに、今の嫌な感じ」
とっさに掴んでいた春花の腕を離し、啞然とした面持ちを浮かべる
「なんですかこの失礼な人は、秋月さんの友達なんでしょ。だったら、今すぐ止めさせて貰えませんか」
夏樹は隣人の秋月へ言い寄り、険しい表情で異議を申し立てる。
「おい、
「ああ、でも少し待ってくれよ。あの女に一言だけいってくるから」
秋月の言葉に耳を傾ける
「おい、お前! 俺になんか言うことあるだろ」
「はあ? あなたに言うことなんて何もありませんが」
「――ったく、気が強い女だな」
「気が強くて結構、どうぞお構いなく」
「なんだそりゃあ? 謝ることも出来ねーの」
「どうして私が謝らないといけないのですか」
「さっき俺のこと、気持ち悪いって言っただろうが」
「私は本当のことを言っただけです」
怯むことのない春花の態度を目にした
「なんだと――!!」
「もう、触らないでって言ってるでしょ」
再び春花の腕を掴もうとする
「――きゃぁ!!」
春花の手はすっぽ抜け、後方へ勢い良く弾き飛ばされた。しかし、これを夏樹が瞬時に駆けより、そっと優しく抱きしめる。
「おっ、おい、秋月。今ゆっくり倒れなかったか!」
「だから言っただろ、関わらない方がいいって」
信じられない光景を目撃した
「おい、お前! これ以上春花に手を出したら、どうなるか分かってんだろうな」
夏樹は凍り付くような視線を送り、雰囲気は大きく様変わりする。その瞬間、空は怪しく陰り眩い光と共に周辺一帯へ雷鳴が轟く。すると――、一つの閃光が天上から曲折しながら少し離れた樹木に降り注ぐ。
「――うわあっ!」
落雷と共に響く
「いいか、よく聞けよ。つぎ危険な目に遭わせたら、ただじゃすまないと思え!」
そんな鋭く睨みつける夏樹の眼光からは、ただならぬ気配を醸し出ていた…………。
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