第2話 告白

「その日、飯塚と駅前のデパートでショッピングするんだけどさ、笹山くんも一緒にどうかなって。なんていうか、三人なら楽しそうだし」

「えっ……」


 予想外の言葉だった。

 まさか、遊びに誘われるなんて。

 気持ちはありがたいが、オーケーすることはできない。

 僕はあくまで、涼城さんたちを遠い場所から見守る存在でありたい。

 彼女たちの仲は、二人の世界で完成されている。その邪魔をしたくないのだ。


「ごめん、休日は一人でゆっくりしたいから」


 そう答えるつもりだった。

 でも、断られることなんて欠片も思ってない涼城さんの笑みを見てると、心が揺れてしまう。

 この表情が落胆に変わるかもしれない、僕のせいで……。


 「いいよ、一緒にいこう」


 気づくと、そう答えていた。


「決まりだね。いやー、週末が楽しみだね」


 ああ、信条に反することをしてしまったな。

 でもまぁ、涼城さんの笑顔が守れたならそれもいいか。

 そんなわけで、週末、涼城さんたちと遊ぶことになった。

 とにかく当日はなるべく空気に徹しよう。

 彼女たちを見守る存在として、節度ある距離感を心がけなければ。

 

 

 ということであっという間に時間が過ぎ、当日。

 その日は、空気に徹するという僕の心がけを裏切るように、想定外のことが次々と起きた。

 

「あったよ、このペンダントでしょ」

「そうそれ、あるがとう笹山くん」


 涼城さんが落とした、祖母の形見のペンダントを自分が見つけたり……。


「この子達に手を出すな! 僕が相手になってやる」 


 涼城さんたちを狙う不良グループをなんとか撃退したりした……。

 テンプレートみたいな展開に笑うしかなかった。

 いや、笑ってられなかった。

 このできことで、涼城さんと飯塚さんの僕に対する好感度がすこぶる上がり、いつの間にか気を許せる人と認識されてしまったのだ。

 ああ、どうしよう。まさかこんなことになんるとは。

 だけど、後悔するにはまだはやかった。

 涼城さんたちと遊んだ次の日、僕は彼女たちに呼び出された。

 放課後、校舎裏に来てほしい。

 いやな予感を感じつつ、その場所に行くと、彼女たちは頬を染めて、僕を待っていた。

 その様子に、緊張しながら、どういう用事か尋ねると、彼女たちにこんなことを言われた。


「笹山、好きだ。付き合ってくれ」

「笹山くん大好きです。付き合ってください」

「恋人になってくれ……」

「恋人になってよ……」

「「私達二人と……」」 


 告白された。

 百合妄想してた女の子に告白された。

 しかも二人同時に。

 なんで? なんで、なんでこんなことに?

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「私達の百合プレイをたくさん見たいなら、私達の彼氏になってよ!」 百合妄想してた女子二人と付き合うことになった。 田中京 @kirokei

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