医療機関を受診しよう! でもどこへ? ③
さて今回は、「大病院に絶対に行くべき場合」を述べてみたいと思います。
診療所よりも大病院を受診するメリット、それは「検査設備がより整っており、詳しい検査をしてくれる確率が高い」こと、またなによりも「入院が出来る」ことです。
逆にデメリットは以前述べたように、診療所からの紹介状なしにふらりと受診すると、選定
また一般的には、病院の方が診療所よりも待ち時間が長い傾向にあります(患者が多い診療所もやはり待ち時間は長いですが)。
あと病院は、月~金であっても午前中までで受付が終了していたり、さらに土曜日は終日外来を閉めているところも多く、会社勤めの方や学生さんなどではウィークデーにわざわざ休みをとる必要がでてくるなど、
これをふまえて、どのような場合に「(大)病院」を受診するべきなのか。
さっそく例を挙げていきましょう。
① 動けない時
動けない理由はいろいろありますが、とにかく動けない場合には病院がベターだと思います。
なぜなら、自宅で動けなければ日常生活が極めて困難になり、入院が必要になる可能性が出てくるからです。
買い物、調理などは同居人がいれば何とかなるかもしれませんが、トイレと入浴に関してはかなり厳しい。
こういう時に診療所を受診すると、自宅で様子を見てくださいと言われるか、大病院へと紹介されるかの二択になります。
原因にもよりますが、すぐに動けるようには恐らくなりません。
その場合自宅で大変な苦労をするか、二度手間で大病院に行くか、いずれにしても不安な思いをすることになります。
従って、「こんなに動けなければ、ひょっとすると入院しないといけないかも」と思った時は、病院の受診を考慮してください。
個々の動けない状態については、別項「何科を受診すればいいの?」で取り上げようと思います。
② 動かない時、ろれつが回らない時
動けない時、とは少し異なります。
動かそうとしても動かない。
特に右手右足などのどちらか片方の手足に力が入らなくなった(片麻痺と言います)時は要注意、それは「
発症後4.5時間以内であれば、急性期
脳梗塞の治療が遅れると片麻痺が
MRIと入院が必要です、急いで救急車を呼んでください。
③ 今まで感じたことのないような激しい頭痛+
ハンマーで殴られたような、と表現されることもあります。
これはずばり、「くも
脳
救急搬送されてすら死亡率30%の非常に重篤な疾患です。
CT検査と入院が必要です、急いで救急車を呼んでください。
④ いつもと違う強い突然の胸痛や呼吸困難
胸痛と効いてすぐに思い浮かべるのは心筋梗塞でしょうか。心電図だけではわからないことも多く、エコーやCT・カテーテル検査などのより高度な検査が必要になる可能性が高いです。
特に高血圧や糖尿病などの持病があって動脈硬化のリスクが高い方が、強い胸痛を自覚した場合には、病院の方がベターと考えます。
また比較的若い人やタバコを吸う人などでは、
気胸はX線検査でもわかることが多いですが、程度によっては入院治療が必要になることがあります。
また、気管支ぜんそくが初発することもあります。
以上、症状によってはすぐに救急車を呼ぶことも考慮してください。
⑤ 突然の腹痛
時に吐血や下血(便に血が混じる)を伴うことがあります。
原因は様々ですが、X線検査だけでは不十分なことが多く、エコーやCT・内視鏡などが必要になることが多いです。
また、尿路結石による激痛も結構あります。
程度にもよりますが、動けなければ救急車を呼ぶことをお勧めします。
⑥ 広範囲のやけど
特に小児や高齢の方で熱湯がかなりの広範囲にかかる、熱い油をこぼす、など。
広範囲(片腕全体やそれ以上の広い範囲が目安、乳幼児なら大人のてのひら以上)の熱傷や深い熱傷(やけどをしたところが黒色や白色に変化しているもの)は救急搬送の対象です。
遅れると脱水や感染症、ショックなどの重篤な状態に進行する場合があります。
皮膚科か形成外科のある大病院をお勧めします。
⑦ 意識障害
これも原因は様々です、持病があるかないかにもよります。
急性アルコール中毒、高血糖/低血糖、脱水症、熱中症……
いずれにしても呼びかけに反応しなかったり
⑧ 傷から骨が見えている怪我、出血のひどい怪我
もちろん大きな交通事故や高所からの転落などは病院へ救急搬送されることがほとんどですが、怪我はしているが動けそうなときは悩みどころ。
しかし少なくとも、傷口から白い骨が見えているときは、手術に準じた治療ができる病院を受診するべきです。
これは開放骨折(複雑骨折)といって、6~8時間以内に洗浄をして創処置をしないと、
そうなってしまうと、再手術や、最悪切断が必要となる可能性すらあります。
骨が
また傷口からの出血が多い場合には、前述の開放骨折、あるいは血管損傷の可能性があります。
普通のタオルでいいので
とりあえず、ざっとこのような場合でしょうか。
上記は成人の場合を想定していますので、小児や高齢者ではやや異なる場合があります。
とにかく救急車を呼んだ場合には、救急指定病院に行くことになります。
その場合は、診療所と病院のどちらを受診するかを悩むことはありません。
つまりこれまで述べた状況は、「救急車を呼んだ方がいい場合」とほぼ同義になっています。
さて、ここまでは比較的当たり前のことについて述べてきましたが、問題はその間にあるグレーゾーン。
「歩くことはできるけれど腰がずっと痛い。診療所を受診しても痛み止めをもらうだけで、少しずつひどくなっているような気がする」
「咳が止まらないけれど、診療所の胸のX線写真では何もないと言われている」
などなど。
診療所を受診しているけれど経過がはかばかしくない方は、主治医の先生とよく話し合うなどして病院への紹介をお願いするのもいいかもしれません。
しかし患者がこのような正当な要求をした際に、病院への紹介を
私に言わせれば論外です、患者は自分で医療機関を選ぶ権利がありますし、正当な理由なしに紹介を拒むこともできません。
診断と治療に納得がいかなければ、複数の医療機関を回って意見を聞くことはむしろ必要だと考えます。
精密検査がされていなければ、あるいは正確な診断が下されていなければ、なおさらそうです。
紹介状を書いてくれないような診療所は黙って見切りをつけて、病院を受診しましょう。
病院は病院で、紹介状のない患者にかかりつけから紹介状をもらってくるように指示することもありますが、事情を説明すれば大抵は受診可能だと思います(前述の選定療養費の負担はありますが)。
さて、ここまでどうでしょうか。
いろいろ書きましたが、やはり自分で判断をつけることが難しい場合に
そこで次の項では、「○○科を受診する際には、ここに注目」と題して、受診科別の各論について考えてみましょう。
具体的な症状・
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