異世界から舞い戻って来た俺は嫁さんと平和な日常を送る

如月 マリア

第1話

今、俺は『瀬戸』という表札のかかった家、自分の実家の前で入れずにいる。何故なら、俺の横には結婚した奥さんがいる。俺の両親との初の顔合わせだ。

そして、俺とも久々の再会だ。隣の奥さん兼、ご主人様と、こことは違う異世界にいたからな。

緊張しながらドアベルを、ピンポーンと鳴らす。すると、

「どちら様ですか?」

久しぶりに聞く母の声は、少し疲れているように聞こえる。そうこう考えているうちに、和風の玄関の引き戸が開く。

「えっ、優翔?」

母は、俺を見て驚き、目を見開いている。

「アンタ、今まで何処に居たのっ!」

涙ぐんだ瞳で睨んでいる。そして、距離を詰めて来て、俺は母に抱きしめられた。あっちの異世界にいたのは、一年という短いようで、長い期間だった。

「おかえり、優翔」

もう少しで鼻水まで垂らしそうな程に、顔をぐちゃぐちゃにした母が、俺を抱きしめたまま言う。それに感化され、俺まで泣きそうになりながらも、笑って応える。

「ただいま、母さん」

そして、俺と母はお互いに、言葉無く離れる。隣で見ていた俺の奥さんがもらい泣きをして、涙を流していた。それに気づいた母が

「ところで、アンタのお隣の方はどちら様?」

困惑しながら、俺は簡単に説明をする

「この一年お世話になった人です」

そして、一番大切な事を意を決して言葉にする。

「紹介したい、俺の奥さんのマリア・瀬戸・フィアラルハスター・アンブローズです」

すると、それを聞いていたマリアが自己紹介の挨拶を母にする。

「私は、マリア・瀬戸・フィアラルハスター・アンブローズです。アンブローズ家の三女です。」

そう言われた母は、理解が及んでない。

「外国人さん?が優翔のお嫁さん??」

当たらずも遠からずな返答をする母。

「あのさ、積もる話は中でしない?」

苦笑いで母に告げる。すると、母は今気付いたようで、慌てて言う。

「それもそうよね。さあさあ、中へどうぞ」

と、体を横にして、扉を開け、手で中を指す。

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異世界から舞い戻って来た俺は嫁さんと平和な日常を送る 如月 マリア @Yuriwotasinamu

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