第11話 お兄さん
ゆきこちゃんのお兄さんは2つぐらい上で、近頃よく遊ぶようになった。お兄さんは工場の奥にある焼き場で遊ぶのが好きだった、行くといつも三輪車で焼き場の中の狭い道を走り回る。いつもお兄さん そういう遊びが好きだった。僕は 工場で働いてる人たちに怒られるんじゃないかと ヒヤヒヤしながら一緒に遊んでいたが工場の人たちは 社長の息子である お兄さんに気を使って怒ったりはしなかった。焼き場の中はいつも暗かった、どうして暗いのかわからなかったがきっと何かわけがあって暗くしてあったんだろう。焼きは暗い中に焼き釜がいくつもあって暗い中に赤い火がいつも見えた。赤く燃えているのは何だろう こと 僕は目を凝らしてみていた。燃えているのは炭か コークスのようなものだった。焼き場の中はいつも火が燃えているので暖かかった。その 暗い 焼き場の中の細い道をゆきこちゃんのお兄さんはものすごい勢いで走り回る。何かにぶつかったり壊したりしないのが不思議だった。きっと お兄さんはいつもこんな風にして遊んでいたんだろう。だからいくら 暗くて細くても少しも怖がらずにものすごい勢いで走り回っても平気なのだ。僕はお兄さんにお前チビなのによくついてくるなと褒められた。工場の暗い中に赤くコークスの火が燃えていた。焼き場には瀬戸物を焼き上げるための窯がいくつか置かれていた。素焼き が終わって釉薬をかけたり、飾りを貼り終わった粘土の土台がいくつも並べられていた。やくものによってそれぞれ温度が違うので窯もいくつも置かれている。丸1日かそれ以上長い時間をかけて焼き物はゆっくり 焼かれていく。
雪の聖母 瀬戸はや @hase-yasu
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