段平の乱舞
広大な戦場に突き立ったその一本の剣は、量産された安物と呼ばれる剣には有るまじき輝きを放っていた。
輝きと言うよりも、魅力、むしろ魔力の類であったのかもしれない。
むしろ、それを大量生産した魔術師で鍛冶師のカチャトーリは、標準的な
カチャトーリの魔術『
本来、寸分の違いも無いはずの、魔力の鋳型で量産されたとは思えない、片手剣より心持ち長い程度のものから、両手剣より取り回しが良いよう僅かに短いものまで、様々な形をしている。
もちろん、使い手の腕の長さや腕力の違いにも、対応できるように長さや重さが変えてあり、百の剣があれば、手に馴染む一振りは、必ずその中にあると豪語していたくらいであるから、どこが魔力の鋳型による量産なのか、わけがわからない。
その点では、量産と言いつつ、同じ規格・寸法の
一本一本が、場当たり的とは言え、鍛冶師であり魔術師であるカチャトーリが、魔力で金属を精錬・成型し、それを引き継いだ
カチャトーリの工房で働く、あるいは臨時に招集を受けた鍛冶師達とその見習い達は、割り当てられた作業場で、これまで在り得なかった作業工程を説明され、見せられ、待たされ、初めての作業に取り掛かった。
カチャトーリの『
その魔術によって『
経験の浅い鍛冶師見習い達は、予め魔力で精錬された金属が、同じく魔力で形成された鋳型に魔力の流れに沿って注ぎ込まれ、
その
魔力を帯びてはいるものの、まだ剣と呼ばれる前の、剣らしき形をした金属の塊でしかないモノを、より純粋に鍛え、形を、流れを整え、どうすれば剣に、刀になるのか、その
その
刀身を鍛える時、内に秘めた魔力を、どう表出する/表出させるのか、
カチャトーリが、金属塊の内に予め潜ませておいた多様な魔術式の内、どれを選び、どう力を溜め、現出させるのか。
鍛冶師達が刀身を鍛えるのと同時に、予めカチャトーリの魔力の
あるものには、刃の鋭さを増し、如何なるモノをも断つように。
あるものには、刀身に炎と熱を、雷を、氷を、風を、或いは聖なる力を、纏わせるように。
あるものには、使用者の魔力をもって刀身の上に見えざる刃を造り、実体の無いモノさえ斬れるように。
相応する魔術式を、鎚に込め、刀身を鍛えるのと同時に刻み込んで行く。
打ち上がった
百の剣が打ち上がれば、似ているようで異なる、異なるようで似た、百の兄弟姉妹の魔剣達が誕生した。
百人の選ばれた兵士に、まずそれら百の魔剣は授けられ、異界と対峙する栄誉ある最初の
段平鋳造師~ブロードソードキャスター~は、鋳物師ではなく魔術師でもなく鍛冶師です 大黒天半太 @count_otacken
ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?
ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。段平鋳造師~ブロードソードキャスター~は、鋳物師ではなく魔術師でもなく鍛冶師ですの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
黒歴史とは/大黒天半太
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます