※「05『ホビット vs ホビット』」の章まで拝読した時点でのレビューです。
「ウィザードリィや古典MMO RPGをリスペクトしながら、本格ファンタジーの世界を描いていきます」
あらすじにあるこちらの文言に偽りなしの、ハイファンタジーです。
古き良き、闇と魔物とマジックアイテムに満ちたダンジョン探索ゲーム。
かつて迷宮の闇へ潜り、潜む魔物と戦い、宝箱に心を躍らせたことのある方であれば、馴染みのある世界観かと思います。
あの頃、ドット絵の画面の向こうに幻視した世界が、丁寧な描写で構築されています。
そして「バァバ」をはじめとする登場人物も濃いです。
迷宮の闇の濃さにも、決して劣らぬインパクトの強さは、ぜひとも本編でご確認いただければと思います。
現状20万字を超えている長編ですが、1章(3~6話)ごとにひとつの話が完結する連作形式なので、現在進行している話の内容を把握しやすいのもよいところです。まとまった迷宮物語の一幕を、短めのスパンで楽しむことができますので、設定濃度と文章密度とが高いにもかかわらず、負荷は少なめでそれぞれの話を追うことができます。
続きも楽しみに読ませていただこうと思います。
やばい。
冒頭の数行を読んだだだけで鮮明な実写映像が脳内に立ち上がってくるのは、如何なる達人のワザであろうか。
これもう映画だよ……いや、中くらいのストーリーが続くからハイクオリティな洋ドラ……!
結構重要そうだと思った登場人物があっけなく死んだりするので驚きがあるけれど、ダンジョンとは本来そのような危険なものなのだというREALさがひしひしと感じられる。
各人物の視点から一歩引いて俯瞰したような文体が、そうしたことを自然と理解させてくれる。
オムニバス的なドラマ形式ですが、一体どうなってゆくのか、目が離せない。
ウィザードリィなど原初のRPGで味わったダンジョンの過酷さを、高解像度映像で楽しめる作品!