恋 🐚
上月くるを
恋 🐚
人想ふ女ひとりや春の雪
すれちがふ心と心牡丹雪
たれもゐぬベンチに名残雪が降る
音楽堂のヒマラヤ杉の木の根明く
佐保姫に恋の行く方を問ひにけり
かげろふに恋人たちのまぼろしが
春泥や恋のわだちの深くあり
その一羽わが身重ねて残る鴨
春装を見せる人なき街路かな
沈丁の匂ひに恋をのせてやる
さらさらと虚しさこぼす春の空
恋人よそばにゐてこの余寒の日
黄梅やマラソンびとの靴の音
忘却をいざなふ春のひとつ星
連翹に季節の巡り知りにけり
ジョークさと笑ふ横顔春の闇
新生のあかりのごとく蝶生る
またの日の巡り来らむ月日貝
古傷になるときを待つ浅き春
春灯やベリーダンスの教室へ
恋 🐚 上月くるを @kurutan
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