第三十一話 「敵って何なんでしょう、ね⋯。」
「ん? あーリイラじゃったか。そうじゃ、ときの―――」
「あ、ぁあぁあああー!」
「な、何だよ。急に叫んでよォ⋯。」
あ、危ない。でも何とかこれで―――
「ねぇ
「⋯ふぁーあ。そうなんすね。じゃあ⋯”話してくれ”っす。」
え―――
「僕は救いたくて。唯、またみんなで笑って暮らしたくて。それで⋯⋯」
「ッお前も⋯。」
は、口が勝手に⋯動く。ど、どうし―――いやそれよりも今、この人凄い高所から⋯。
「それで”続き”はなんすか?」
「続き。続きは⋯ミ―――」
「”ッ待て!” お前、自分の意思はないのか?! なぁ、リイラ! 答えろ! お前の決意はそんなものかと聞いておるッ!」
僕の意思? 僕の決意? ⋯それがそんなものだって? そんなッ! ものだったらとっくに諦められてる⋯⋯! 馬鹿にしないで下さい。確かに僕は⋯百から数えるのを辞めました。
そう心の何処かで諦めてた所があるんです⋯。でもだからこそッ! 僕にとって希望が見えた今! この時が記念すべき一回目なんです!
「馬鹿にッ! するなぁ゙!」
ッ、喉が急に痛くなってる⋯! な、何故⋯⋯?
「あ、すまん。止めるの忘れておったわ。”待たんくてよい”。」
「あ、あー。⋯ははッ! 凄いなァお前。オレは全然喋れなかったのによォ。まァお前も同じだって分かってホッとしたわ。⋯⋯だからこそ時戻りは、使わせねェ。」
それって⋯どういうこと? ッあぁもうわけが分からない! 何なんですか、同じってどういう意味――――いや、まさかッ! その表情に同じということは。⋯⋯あなたもそうだったんです、か。
「ならッ! 大勢で協力すれば!」
「無理なんだよ。時戻りは一ヶ月に二人が限界でな。そこに三人目が加わると普通じゃ有り得ねェことが起きるらしい。まァ、
え、でもあなたは⋯⋯此処に居て記憶もあるじゃないですか。未来でも会いましたよね。それなのに何故そんなことを言うんですか⋯。
「でもあなた、此処に居るじゃないですかッ!」
「いやそれはあたしが賭けたからの。リイラとあたしの分はゼロでカウントされていた筈じゃ。」
「賭けた⋯、お前らもか。オレも記憶の為に全部賭けちまッた。」
え、でもあなた生きてますよね? 賭けたってのに当たり前にそこに存在してるじゃないですか! え、時のやつって一体何なんですか⋯。
「何故生きてるって顔だなァ。オレが生きてんのは
お陰で⋯生きて、る? それってどういうことですか⋯⋯。時のって、いやお前らのいうボスって何者なんですか!
「⋯だからな。例え頭が何かヤバいことをしようとしていてもオレは着いて行く。そう決めているんだ。
つまり、オレとお前らは敵なんだよッ。お前が諦めない限りは⋯⋯。」
は、敵⋯? な、何でですか! あぁそうですか。ッ納得は出来ませんけど事情はよーく分かりました。お前は時のやつに支配されてるようなもんだって!
⋯それでも本当に協力は出来ないんでしょうか。だって目的は似てるのに⋯⋯、こんなことってあんまりです。あ、そうですよ。
「話せば分かってくれ―――」
「あのなァ、話せば分かってくれるだと? そんな綺麗事はァ! この世には存在しちゃいねェんだッ! オレだって救いたい奴がいるッ! でも⋯もう無理なんだ。頭がいねェとオレは動けやしない。」
⋯⋯ッ! どうして! 救いたいというなら何故こんなことをするんですか! 何故ッ! お前らがそんな顔をするんです、か。
「⋯もし良ければじゃがあたしが―――」
「はははっ! 素晴らしいね! 今日はうーんと良い日だ! だってこんなに人がいるんだもの。きっと良い日だよ! そうは思わないかい?」
え、ドアを勢いよく開けて来た人が急に何か言い出しました。⋯にしても今、この人良い日と言いましたか? は、こんな日が良い日? それは随分と違う。
だって協力は出来ずミアだって止めれずフィくんは管まみれ。はは、こんな日が良い日だとしたら記憶があることくらいですよ⋯⋯。
「えーと
あ、あの可哀想な人。でも僕を邪魔した人でもある。⋯⋯いやでもこの人って僕を
「ん? そうなのかい? じゃあ何でこんなに人が居るのさ? もしかして⋯⋯あ! 分かったよ! またレワルーが何かやらかしたんだろう?」
「はぁ、レワリ。自分はとても心外だ。またって余りに酷くはないか?」
「か、頭。」
え、今あの人急に零ノ二って人の前に現れた? 魔法陣も何も見えなかった。どういうこ―――そう思いながら周りを見渡していると
え。零ノ二って人以外周りの人全員礼をしてる?! んん、ということはあいつがボス? それにしては僕の知ってるのとは雰囲気が違うような気がします。
⋯⋯でもそもそもあいつ、顔隠してたしどうなんでしょうか。それに零ノ二って人が礼をしてないのも気になります。そう僕が思っているとその零ノ二と目が合いました。
「だってレワルーはそういうやつだろう? それにしてもそこの子、レワルーを見て
あ、え? 今こいつ、僕の顔見て笑いましたか? ⋯ぐ、ぅ。何か同意するのは嫌ですが、確かにこいつの言う通り話すのはありかもしれない。
「ブフッ。」
ん? 今何か聞こえたような⋯⋯。いやいやそれよりも話すかです。話してもし違えば和解出来るかもしれないですし。うーん、でも合ってた場合どうしよう。うぅ、でもッ! 聞かなきゃ何も始まらない! よし、聞いてみ―――
「ふふっふふふ。あーもう駄目。笑いを堪えきれないよ。」
⋯え、今聞こうと必死の覚悟で話し―――
「ンン゛。多分リイラが聞こうとしていたのはお前らがミアねぇに非道な実験をしたやつかということじゃろ。」
え、言っちゃうの? しかもまた遮られました。もうこれ僕がいなくても良くないですか。と僕がいじけていると
「ミア⋯? あぁ、あのバートラッド族の。別に用があるのはバートラッド族さ。あそこはガードが固くてね。全く苦労したんだよ? 情報集め。それで非道な実験って?」
と、やれやれとでも言うかのように言ってから此方に聞いてきました。は、覚えてないとでも言うんですか⋯⋯? 僕は⋯忘れてなんかいません。お前らがミアにしたこと、全部ッ!
⋯⋯お前らは非道な実験をした挙げ句、もうデータは取れたしいいかと殺そうとしていたッ! それを覚えていないですッて!
「ッ! お前らがミアにしたことです! 覚えてないとは言わせません。散々実験した後挙げ句の果てには無抵抗のまま殺そうとしてッ!」
「え、なにそれ知らないよ。ねぇレワルー、その子が言ってる件。誰に任せるつもりだったの?」
「え、あぁ。最近協定を結んだ所に任せるつもりだったのだが、どうやら辞めた方が良いらしい。まぁでもやることは変わりはないだろう。」
変わりない⋯⋯? それって―――
「こらこら、言葉が足りていないじゃないか! それだとまるでボクらが残虐非道に聞こえる⋯。あくまで発破をかける為にミアという人物を誘拐する手筈だったよね?
まぁそれでも、時のを使うというのなら君らはボクらの敵さ。」
え⋯、つまりこれでミアは助かるんですか。本当に⋯⋯? あ、あぁ良か―――
「待たんか。それなら何故実験などしたのじゃ。」
「実験⋯。さぁね? 多分揺さぶれなかったから仕方なくその子からデータを取ろうと考えたんじゃないかな。⋯⋯ん? でもそれだと直ぐに。いや、どういうことだ。」
と、考え込み始めたのか何も話さなくなりました。ど、どういうことですか、やっぱり話さない方が良かったんでしょうか?
「⋯⋯リイラ。聞こえておるよな?」
あ、え? 何か妙に頭に響く話し方ですね。何の用ですか? 僕は考えるのに忙しいんです。用がないならさっ―――
「はぁー、重要なことを話してやらんぞ。良いのか? それと声は出―――」
「重要なこと!? それって何ですか!」
「え、重要な、こと?」
あ、不味い。大声を出してしまいました。あぁ、僕の馬鹿ッ! で、でももうどうしようも⋯⋯
「逃げるぞ、リイラ」
「え、でもフィくんは? それにあれいさんも」
「は? 何、寝惚けたことを言っておる。フィムスはまだしもあれいとやらは消えたとミアが言っておったぞ。」
え、いやあれいさんは未だ消えていない筈じゃ⋯⋯あれ? どうでしたっけ? んあーもう! 分かりませんッ!
「フィムスなら
え、いつの間―――
「行かせな」
ん、は?
「リイラ!? どうして此処に! ⋯え! フィムスまで。一体どうなって⋯⋯。」
「ミアねぇ!
「え――。ね、ねぇどうしたの⋯? その傷」
傷⋯⋯? え、あ。何ですか、これッ! な、何が⋯赤い。
「リイ―――」
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