ヒミツの出来事

今村広樹

本編

「なんでこんなことになっちまうのかな?」

 制服をきた少年はグチる。となりの奥さんとしようとしたら、旦那さんが帰ってきて

「ごめんねー」

 と奥さんが謝りながら、ベランダから逃がしてくれた。

 部屋はとなりでベランダからベランダに飛べばなんとかなるが、ここは4階。グチの1つも言いたくなる。

 はぁーとため息をつき、自分の家のベランダへ飛ぼうとする。

「あれ?」

 ベランダには鍵がかかっている。

「なんで?」

 少年はベランダの鍵を開けようとするが、鍵は開かない。

「あれー?あれー?」

 しばらくして思い出した。そもそも母さんが外出してて、隣の奥さんに飯を食べさせてもらい……、ということ。

「あー、どうしよう。……そういや妹が寝てたな」

 携帯で妹に通話。

「それで、なんでベランダにいるの?」

「鍵かかってて、ベランダから戻れなくて」

「たから、どうしてベランダにいるか聞いてる」

「いや、飯は食ったけどさ。母さん居なくて隣の奥さんに食わせてもらって、何もしてなかったからうつらうつら寝ちまって。……で起きたらこうだった」

 妹は呆れた顔をしたが、それを受け入れたようだった。

「後……」

「はいはい、母さんには秘密ね」

「ありがとう」

 少年はホッとした風に息を吐いた。

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ヒミツの出来事 今村広樹 @yono

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