学園寮で同室になった美少年が実は女と知ったので……

助部紫葉

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「頼むッ!キミの言うことはなんでも聞く……!だから僕が女だということは秘密にしてくれないだろうか……!」


「えっ、今、なんでもするって?」


「ああ……!僕に出来ることならなんでもする!だからどうかお願いだッ!この事は黙っていてくれないか!?」


「よし分かった。この事は秘密にする。そう約束しよう」


「本当かい!?キミはなんて良い奴なんだ……ありがーー」


「それじゃ、脱げ」


「ーーと、う……。えっ……?脱げ?は?なぜ?」


「なんでもするって言ったよな?」


「い、言ったけど……」


「秘密、バラされたくないんだよな?」


「そ、そうだね。僕が女だということがバレるわけにはいかない」


「なら脱ごっか?」


「だ、だだ、だから……!何故そういうことになるんだい!?」


「脱いでヤルことなんてひとつしかないだろ。秘密バラされたくなかったら大人しく従ってもらおうか。なんでも言うこと聞くんだろ?観念しろや!」


「えっ、あっ、あっ、や、やめっ……!キャーッ!」




入学試験をトップの成績で合格し、新入生代表生徒にも選ばれた天才美少年。その整い過ぎた顔立ちで入学早々女子生徒の心を残さず虜にし、男子生徒にすら「俺、アイツならイケるわ……」なんて言われてるとかなんとか。


「あー、コイツとは住む世界が違うな」なんて思っていた俺だった訳だが……。なんとそんな美少年と俺はあろう事か学園寮で同室となってしまった。


いけ好かないヤツと勝手に決めつけていたのだが、話してみると意外と気さくで良い奴で、顔だけじゃなくて性格も良い。これはモテるのも頷ける。


同室だし、これから長い付き合いにもなりそうだし、友情を深める為にもやはり裸の付き合いが必要だろうと思った俺。美少年がシャワーを浴びに行った浴室に突撃をかました。


結果、美少年の裸を目撃。


胸板は膨らんでいて、これは明らかに胸板ではなく、おっぱい。


そして男性を男性たらしめるシンボルが付いていなかった。


どっからどう見ても、女。雌。ウーマン。


こうして俺は美少年の秘密を握ることになった。


んで、それをネタに無理矢理、襲った。


脳内を性欲に支配された思春期の男子高校生が、誰の邪魔も入らない密室にて、美少年と見紛う美少女と2人きりで、「なんでも言うこと聞く」なんて言われたのなら、それはもうヤッちまってもいいと許可を出されたようなものだと思う。



「キミは……最低だよ……。うぅっ……しくしく……」



事後。俺に背中を向けて美少年はさめざめと泣いている。すっぽんぽんで身体を丸めてぶつくさと不平不満を垂れ流していた。



「これから3年間は同じ部屋で暮らすんだ。仲良くやろうぜ?」



ヘラヘラと笑いながら背中から抱きしめようと手を伸ばしてみる。



「触るなッ……!」



しかし、その手はあえなく払いのけられてしまった。



「キミの言うことは聞いた!だったらもう、これ以上キミの言うことを僕が聞いてやる道理はない……!僕に二度と触るな!」


「ふーん。そういうこと言う?そんなこと言うならオマエが女だって秘密バラしちまうぞ?」


「やれるものならやってみるがいいさ!その時はキミが僕のことを襲って乱暴したと言いふらして警察に突き出してやる!」


「へぇ……」



なるほどねぇ。



「理解したかい?僕の秘密をバラせば僕もキミの秘密をバラす。僕の秘密がバレればキミの秘密もバレる。キミと僕の秘密は相互関係にある。いうなれば2人とも対等な関係だ。だったら僕がキミの言うことを一方的に聞く必要は無い!僕はもう二度とキミのようなゲス野郎に身体を許したりはしないぞ!」



確かにそれもそうだ。片方の秘密がバレることがあれば、連鎖的にもう片方の秘密もバレる。


コイツが女だとバレたのなら、コイツは俺に乱暴されたことを言いふらし、2人揃って終わり。逆に俺がコイツを襲ったことがバレれば、それはコイツが女だという証明になり、やっぱり2人揃って終わりだ。


一蓮托生。2人ともお互いの秘密を握りあっている。この現状においてどちらの立場が上かという差が無くなった。


だから、コイツはもう俺の言うことを聞かないと、そう言う。


だが、残念ながらこの理屈は俺に通用しない。



「バラしたければバラせばいい」


「……えっ」


「警察に突き出したければ突き出せばいい」


「……は?」



俺は我が身の破滅を厭わない。



「んじゃ、第2ラウンドとイこうや」


「ぬわっ!?」



両手で両手を拘束し覆いかぶさり、華奢な身体をベットに押し付ける。その整った顔を歪めて、俺を睨みつけてくる美少年。ああ、いい。その表情はそそられる。



「くっ……!ほ、ホントに通報するぞ……!」


「したければすればいい。逮捕?退学?少年院?豚箱?人生おしまい?俺は一向に構わない。何を失おうと知ったことじゃない。だが、オマエは違う。秘密がバレる訳にはいかないんだろ?秘密がバレることで失うものがあるんだろ?」



それが俺とコイツの違い。だからこそ俺はこの場でコイツの優位に立てる。



「……それはそうだけど」


「もう1回したんだから2回も3回も変わらんだろ?オマエは俺がしたい時にさせてくれるだけでいい。そうしたらオマエの秘密は黙っててやるし、なんだったらオマエが女だってことを他の奴にバレないように全面的に協力もしてやる」


「それを僕に信じろと?」


「通報されようが知ったこっちゃないが、別に通報されたい訳じゃないし、警察のお世話にならないに越したこともない。俺がオマエの秘密をバラすメリットが無い。それにだいたい信じる信じないの話じゃないだろ。ここでオマエが首を縦に振らなきゃ俺は直ぐにオマエが女だとバラして2人揃ってオシマイだよ」


「ぐぅ……元から選択肢は、無い、か……」


「そうそう。で?」


「…………わ」


「わ?」


「…………わか」


「わか?」


「…………わかっ…………たっ…………」




本当は嫌で嫌でしょうがないし、なんなら今すぐにでも舌を噛んで自害したい程に嫌だけど!もうマジ生理的に無理なんだけど!渋々!ホント渋々なんだけど!といった表情をしながら声を振り絞って了承する美少年。



「よし!んじゃヤルぞー!」


「ま、待て……!」


「今度は何?」


「す、する前に……!ここでしっかり約束して貰いたい!」


「どんな?」


「僕が女だという秘密は絶対に誰にも話さない。それにキミは僕の秘密がバレないように協力する」


「その代わりにオマエは俺がしたい時にさせてくれる……ってことでいい?」


「……それでいい。約束しろ」


「わかった。約束する」



こうして俺は同室の男装女子と約束を交わし、秘密の関係となった。




そんな約束を交わした翌朝。




「う、うわぁぁぁ!?な、なんだコレ!?」



そんな叫び声に叩き起された俺。昨晩は深夜までお楽しみだったので非常に眠いし、特有の倦怠感で非常にダルい。


朝っぱらから何事かと見てみるとベットの上に立つ美少年。


そう、紛うことなき美少年が居た。



「む、胸が……!?」



程よい大きさで、そこそこ揉み心地もよかったおっぱいは胸板へと変わっている。



「そ、そそそそ、それに、コレッ……!?これはチンーー……!?!!」



……そして、男性特有のシンボルがーー。



「はえてるッ!?」



はえていた。



「朝っぱらから煩いな……」


「こ、これはどういうことなんだっ!?な、なんで胸が!?そ、それにコレッ!コレェッ!?!!はえてる!はえてるんだが!?」


「あんまりブラブラさせるなよ」


「し、したくてしてるわけじゃないんだが!?これはどういうことなんだ!?これじゃまるで男みたいじゃないか!?」


「紛うことなき男だな」


「僕は女だぞ!?なんでこんなことに!?」


「秘密がバレないように協力するって言ったからな。ほら、男になっとけば女だってバレることは無いだろ?」


「ま、まさか、これはキミがやったのか……?」


「そうだ。俺のクソ使えない3つの固有スキルのウチのひとつ『性転換トランスセクシャル』だ」




今から数十年前に世界各地に突如現れた『ダンジョン』それに付随するように人々は『スキル』を扱えるようになった。


スキルを扱える新たな人類『スキルホルダー』


それの育成機関となる学園を中心にして発展した学園都市。


これはそんな学園都市で俺と美少年くんがスケベしたり、巨悪と戦ったり、エロいことしたりする話。



「な、なぁ……。こ、コレ……。昨日のキミみたいに凄い元気な気がするんだが……」


「ああ。それは所謂、朝立ちって奴だな」


「ど、どどど、どうしたらいッ……いいの、かな……?」


「よし、それの扱い方を教えてやろう」


「へっ……?うわっ、ちょっ、なにするっ、や、やめぇ……!?!!アッーーー!?!!」








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