第11話  やっと、任務完了?

 辺りが銀色に包まれて、銀色に輝くこの世界の神がやって来た。


 俺は、小さくガッツポーズ。でも、彫刻のように美しい神は、大きく息をついていた。


『こんな事で、我を喚ぶとは……そなたなら容易く倒せるだろうに』


「でも、闇堕ちしてますよ。元の属性に返してあげて下さい」


『その後で、どうするつもりだ?』


「風の力で、過去の仲間のもとに戻します」


 神は、頷いた。


『闇堕ちを救う方法も、そなたは知っているはず』


「知りませんけど?」


『そなたは、選ばれし者ゆえ、万能なのだ。こうして我を呼び出せたのだから、逆も然り。やってみると良い。もう、くだらぬことで我を呼び出すでない』


 そういうと、光の神はあっさりと消えてしまった。

 後に残ったのは、呆気に取られてる俺と、小竜を保護して来たレスターだった。


「君、何を召喚してたの?」


「いや、ちょっと……」


 俺は苦笑いで誤魔化す。光の神と話してたとは言えないからな。


 小竜のリッセルドは、少し怪我をしていたが、さすがに竜だけあって頑丈だ。洞窟に避難をしていたところをレスターが見つけたようだった。


 後は、闇黒竜だ。

 俺は、万能で何でもできるらしいので言ってみる。


「聖なる光よ、降臨!!」


 闇黒竜に向かって、叫んだ

 大きな銀色の玉が、闇黒竜を包みこむように降ってきた。

 闇黒竜は、始めこそもがいていたけど、数分で大人しくなった。

 そして、黒い色が落ち始めて、下から元の赤い鱗が見えてきた。


 それを見届けて、俺が風を呼ぼうとしたら、


『ちょっと待ってくれ!!』


 聞き慣れない言葉だが何故か聞き取れた。


 目の前の竜が居なくなっており、一人の若い男が、俺に手を上げて立っていた。もの凄く眉目秀麗だ。赤毛に深い青い色の瞳。


『僕は、火竜のリスタルク。魔法使い、僕を過去へ飛ばそうとしていたろう? やめてくれないか? 僕は光の眷属に戻ったんだ。過去には、悪い奴が大勢いるんだ。だから、この時代で暮らさせて欲しい。代わりに、その風竜の面等をみるよ』


 俺が勢いで風を呼びそうだったので、火竜のリスタルクも一気に喋ってきた。


 俺は、風を喚ぶのをやめて、レスターの方を見た。


「どう、思う?」


「信じても良いと思うぜ」


 そーか、そーか。この物語では、そんなにあっさり人(竜だけど)いう事信じるんだな


 でも、リスタルクなんて火竜は俺も知らない……。害はないとしよう。


「悪さをしたら、いつでも討伐隊が来るぜ」


 脅しだけは忘れずに。


「もっと、山の中に身を隠すよ、姫にもこの子のことは大丈夫だと伝えてくれ」


「分かった」


 俺は、しっかり頷いた。

 それを見届けたように、レスターから小竜を受け取り目の前で竜身に戻り、山の奥へと飛び去った。


 レスターが、俺のことを羨望の眼差しで見ているのが分かった。


「君は、勇者か?」


「違う! 通りすがりの高校生!!」


 そこで俺の記憶が途切れた。

 ――――ヤレヤレ、やっと、このへんちくりんな世界ともおサラバだぜ 




 ▲▽▲



「気が付かれましたか?勇者殿」


 目を覚ました俺に周りに数人の人が……



 ――――どうなってんの~~!!??





(完)

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チート魔法使いの零 ~異世界に転移した俺、二次創作世界なんてありかよ!!~ 月杜円香 @erisax

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