ある古い屋敷のメイドの秘密

あげあげぱん

第1話 ある古い屋敷のメイドの秘密

 私はパルス王国にある古い屋敷に勤めております。


 主様は若く二十代になったばかりです。私より少し年上というくらいの方ですが、王宮に勤める魔法使いとして、すでに活躍をしているそうです。


 私はあまり魔法のことは詳しくありません。王宮のことも分かりません。ですから、主様の仰る話も、あまり分からないでいました。


 ですが、主様はそれでは話し相手としてはつまらないからと、私に魔法を教えてくれるようになりました。


 彼は無学の私にも分かりやすく魔法を教えてくれました。おかげで、今は初歩的な魔法なら使えるようになりました。


 私が魔法を覚えていくほど、主様は面白がって、新たな知識を与えてくれます。私も楽しくて、いくつも魔法を覚えていくうちに、気づいたのです。


 新たな魔法を覚えることが楽しいのではなく、私は、主様と一緒に、彼の好きなことについて話の出来る時間が楽しいのだと。そして、私は彼に恋をしていました。


 私と主様は主従の関係です。決して恋は叶いません。ですが、私は彼から魔法を学び教わっている時だけは主従の関係ではないのです。


 それは、恋と言うには遠い関係でしょう。師と教え子、そのくらいの関係です。


 しかし、私はそれで構わない。たとえ師と教え子の関係であろうとも、一時の間だけは主従の関係を忘れて話をすることができるのです。


 私はこれ以上を望みません。この思いは私の胸のうちに、秘密にしていましょう。


 ですから、神様。


 どうか私と彼との学びの時間を、この先も続けさせてください。

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ある古い屋敷のメイドの秘密 あげあげぱん @ageage2023

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